Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

12/21 ツバキ 「申し分ない魅力」

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)

拍手SSの再掲です。

12/21 ツバキ 「申し分ない魅力」
雨の弓 レイン×ユミ



「ねぇ? 何で私、この姿なの?」

 今更だけど、とユミが呟く。今の彼女の姿は、天命を迎えた時の老女ではなく、レインと……雫と過ごした頃の姿そのままだ。

「あー、それはさ」

 切り取られた魂は、その人の人生の中で一番幸せだった頃の姿を写し出す。だから、ひかりの魂を刈り取った時、彼女がこの姿をとったことが、レインは密かに嬉しかった。
 同時に、共に過ごした時以上に幸せな時がなかったのだという証明にもなってしまって、切なくもなったのだが。
 あのまま、雫が事故に遭うことも、命を失うこともなかったなら。ひかりのそばにいられたなら、彼女に幸せを与えられただろうかと思ってしまう。

「あ、雫のせいじゃないからね!? ただ」
「ただ?」
「……もーちょっと、大人の姿だったら良かったなぁ、って」
「何で?」
「だって、この頃の私、子供っぽいんだもん」

 かと言って、この頃の姿を最後に、ひかりは自分の成長した姿など見られなかったのだけれど。それでも、高校生の自分よりは成長していたはずだから。と、ユミは僅かに頬を膨らませた。

「ははっ、何言ってんだよお前」
「あっ、何よー」
「何を気にしてるかと思えば」

 かたん、と椅子を引き、レインはユミの傍らに近づいて、突然キスを落とした。

「レ、レインっ!?」
「お前はそのままで充分だよ。つーか、お前多分気付いてなかっただろうけど。あの頃だって、密かにお前の事が好きだった奴、結構いたんだぞ?」
「え、うそっ」
「本当。牽制すんの大変だった」

 遥か昔の高校時代を思い出す。男女関係なく、溌剌としていたひかりは誰から見ても魅力的で、人気者だったのだ。

「そんな事してたの?」
「お前が無自覚なのが悪い」

 そう、あの頃でさえ申し分ない程の魅力があった彼女だ。これ以上魅力が増えても困る。

「でも、コーリさんくらい可愛かったらなぁ……」
「……あの性格見てそう思うか? 俺の事はからかいまくるし、結構乱暴だし」

 朝、レインを起こしに来た時の、胸倉を掴まれる迫力は怖いものがある。

「マスターといる時のコーリさんは、すっごく可愛いと思うよ?」
「俺にはユミが一番」

 頬を撫でて、後頭部を引き寄せて。再び小さくキスを落とせば、嬉しそうに笑うユミ。

「ほら、またそんな顔する」
「そんな顔って、どんな顔?」

 きょと、と首を傾げるユミを、レインは苦笑しながらそっと腕の中に閉じ込めた。


雨の弓・明るき陽の光を 目次

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR