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12/20 カトレヤ 「優雅」

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12/20 カトレヤ 「優雅」
暁のヨナ ハク



 ジェハの笛の音が、違う曲を奏で始める。錆びた剣を手にして座るヨナに、ハクの瞳は引き付けられた。
 雰囲気が違う────そう思ったのは、ゆっくりと上げられた顔の、その瞳を見たからだ。

(綺麗だ……)

 本来の舞はもっと穏やかな雰囲気のはず。けれど、剣を持って舞うヨナから感じ取るのは、祈りと哀しみ────。
 それでも、ハクの瞳には、十分優雅に映った。

(ヨタヨタヒヨコ踊り、だったのにな……)

 遠い、遠い記憶に想いを馳せる。城の中しか知らない、姫君とその護衛だった頃。ハクは良く稽古場に着いて行った。

『きゃあっ』

 足を絡ませてビタン! と顔から転んだヨナに、舞の師が駆け寄り助け起こす。

『姫様、足の位置はこちらですよ』
『えっと……こう?』
『はい、そこからこちらへ……あ、逆です』
『えっ』

 また違う動きをした為に足が絡み、今度は肩からすっ転ぶ。

『はははっ、姫さん練習終わったら傷だらけだなー』
『うるさいわよハク!』
『今のままじゃ、とてもスウォン様には見せられませんよー』
『わ、解ってるわよもう! 次にスウォンが来る時までには絶対……!』
『どーですかねー』

 ヨナの舞はお世辞にも上手いとは言えなかった。少なくとも、ハクが見ていた時はどれだけ転んだか数え切れない。
 それがこれ程までに上達したのは……彼女の言葉通り、スウォンに見せるために練習したからだろう。

(スウォン……)

 何故、彼女はユンが見つけた簪を、隠そうとしたのだろう。まだ持っていることはハクにも解っていたし、告げた通り、簪をどうしようがハクの関する事ではないのに。

(スウォン、お前がやった簪を、姫さんは……)

 二度と挿すことはないとしても、捨てることの出来ない金の簪。それはそのまま、ヨナの想いのようで。
 どうすれば、スウォンを断ち切ることが出来るのだろう。ヨナだけではない、ハク自身も、昔の思い出の中にいる彼を、なかったことには出来ない。
 憎もうとしても憎みきれない。彼の真意が解らない今は。

(姫さん……その哀しみは、何の哀しみだ? 祈りは、誰のために……)

 剣が舞う。服の裾が、首にかけた飾りが揺れる。甘さが全くないその舞を見つめる自分の瞳が、どんな色を宿しているか、ハクは知らない。
 アロが話し掛けてきても気づかぬまま、ハクは主の優雅な舞を見続けた。


暁のヨナ 目次

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