Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

12/18 シンビジウム 「気取りない心」

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)

拍手SSの再掲です。

12/18 シンビジウム 「気取りない心」
MIRAGE 従兄妹五人組


「パミラ、こっちよ」
「アリーナ待って~」
「ランディル、今日こそ決着だ!」
「って、不意打ちするなミュール!」
「ずるいぞ二人だけ! 俺もやりたい!」
「「怪我するぞエイド!」」

 中庭に咲く花壇へと走る少女2人と、木刀で騎士の真似事をする少年が3人。そんな子供達5人の姿を、レトとケイトは穏やかに見つめていた。

「パミラもランディルも仲良くなったみたいね」
「最初はかちこちに固まっていたからな」

 数ヶ月前、引き取った二人を初めて王宮に連れて来た時の事を思い出す。

「アリーナ、さま……?」

 恐る恐る名を呼んだ、新たな従姉妹に、アリーナはふわりと微笑んだ。

「呼び捨てで構わないのよ。あなたは今日から、私の従姉妹なのだから」
「で、でも」

 躊躇うのは当然だ。本当の父が王族付きの騎士だったとはいえ、王家の人間など雲の上の存在であり、ましてつい先日まで高貴とは無縁だった。
 元々王家の血族であるバークレイ家に引き取られはしたものの、今まで庶民として暮らしてきた彼等に、王家の兄妹を呼び捨てになど出来ようはずもなく。

「ふふ、すぐには無理かしら」
「あったりまえだろー」
「あなたは全然気にしなかったじゃない、エイド」
「俺だって抵抗ないわけじゃないよ。けど」

 ちらり、とエイドが視線を移す。その先には、額に冷や汗が浮かぶランディルと、ニコニコと笑う王子・ミュールの姿がある。

「そう呼ばないと、ミュール兄が怒るから」
「え、あれ怒ってらっしゃるの!?」
「多分」
「うーん……ランディル」
「は、はいっ」
「僕はね、友達が欲しいんだ」
「はぁ……」

 脈絡のないミュールの言葉に、ランディルは顔にこそ出さぬものの、声は訝しんでいた。

「確かに僕は王子だけど、それは肩書でしかない。従兄弟である君達といる時は、ただの『僕』でいたいんだ」

 僕の言いたいこと、解る? と首を傾げて訊ねられて、ランディルは「何となく……」としか答えられなかった。

「今はそれで良いよ。公式の場では仕方ないけれど、それ以外では呼び捨てで呼んでくれると嬉しいな」

 邪気のない笑顔と、気取りない心に触れて、ランディルは、そっと小さく息を吐いた。

「解りました、ミュール」
「敬語も無しだよ?」
「それは追々でお願いします」

 兄がそう決めたのならば、と、パミラもアリーナを敬称抜きで呼ぶようになったのはすぐ後の事。


MIRAGE 目次

拍手SS Index
月別一覧(12月)へ 作品別一覧(12月)
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR