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12/15 モレア 「感受性」

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12/15 モレア 「感受性」
夢界異邦人 拓也×瑞穂


「拓也くん! ごめんね、待った?」

 待ち合わせ場所にした駅で、周囲に溶け込むかのように佇む拓也を見つけて声をかければ、彼は微かに笑顔を見せてくれる。

「大丈夫。瑞穂こそ、そんな急いで来なくてもまだ時間あるのに」
「だって早く会いたかったんだもん」

 小さく笑う拓也に「へへ」と笑い返して見上げると、彼は頬を少し赤くしてそっぽを向いて。なのに、躊躇いがちな手が瑞穂へ伸ばされた。

「拓也くん?」
「……映画までまだ時間あるから、散歩でもしよう?」
「うん!」

 指先が触れ合うと、ゆっくりと手の平ごと握り込まれる。こんな風に、最近は拓也の方から手を繋いでくれる事が瑞穂には嬉しい。

「お仕事、どう?」
「凜さんや紅美さんと一緒なら侵入はいれるけど……一人だとまだ難しいかな」
「そっか」

 夢界では、自我を保つ強い精神が必要で。それでいて尚、患者に寄り添う心が必要だと、瑞穂は拓也の能力を知った時、凜から聞いた。

『良くも悪くも、感受性が鍵を握るんだよ、この世界は。拓也ならきっと、いい夢界異邦人になれる』

 この事はまだ秘密だと、悪戯顔で瑞穂に告げながら、笑っていた凜を思い出す。

「でも、侵入はいれるようになるよ。必ず」

 紫色の瞳の中に、決意の色が宿る。拓也の弟・一紀は、あちこちの夢界を渡り歩いているらしいと聞いた。

「拓也くんなら大丈夫だよ、きっと」

 そう、拓也なら大丈夫。だって、自らの夢界をも乗り越えてきた人だから。

「瑞穂は? もうすぐテスト?」
「う……せっかく忘れてたのに……」

 今回のテストは範囲が広くて、なかなか手が回らない。その事実を思い出して、瑞穂はふにゃりと情けない顔をした。

「え。あ、ごめん」
「……ううん、大丈夫。拓也くんだってお仕事頑張ってるんだもん、私も自分のやらなきゃいけないこと、頑張る!」

 新たな道を見つけて頑張る拓也の姿は、瑞穂の支えになっている。一紀を見つけだすという目標があるからこそだろう。
 ただ、もしその目標が失われてしまった時……あるいはそれを遂げた時、瑞穂は拓也の支えになれるだろうか。
 夢界の事は想像でしか解らないから、きっと、傍にいる事しか出来ないかも知れないけど。

「違うよ、瑞穂」

 そんな考えを読んだかのように、拓也が告げた。

「瑞穂が頑張ってるから、僕も頑張ろうと思うんだよ」

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