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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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LOVE SO LIFE お餅はどっち?

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携帯の下書きフォルダに入ってました……一年近く(笑)
ちょっと時期はずれ?

お餅を焼いて食べる松永家+詩春の一幕。


「しはるたん、おもちなぁに?」
「なぁに~?」

 新年を迎えて数日。保育園で搗いた伸し餅を小さく切り、フライパンで焼いていた詩春は、小さな手でぺたぺたと足を触る双子に、「ちょっと待ってね」と笑った。

「フライパンで焼くのは初めてだなあ」

 食器棚から皿を取り出す政二が、感心したように詩春の手元を見た。

「お餅を焼くのは、大体が網の上ですもんね」
「うん、アルミホイルを敷いて……でもくっつくし」
「ですよね~」

 詩春も母親と暮らしていた頃は、石油ストーブの上に、くしゃくしゃにしたアルミホイルを敷いて餅を並べて焼いていた。けれど、まだ傷んでいないフライパンならば、油を引かなくても綺麗に焼けることに気づいてからはもっぱらそれで焼くようになった。

「よしっ、焼けた! 茜ちゃん、葵くん、何で食べたい? 海苔で巻いたの? それともお砂糖で甘いの?」
「「あまいの!」」

 見事に唱和された声に詩春は苦笑しながら、政二が新しく取り出してくれた小さな器に砂糖を入れ、それに醤油をかけた。

「はい、どうぞ。付けながら食べてね?」

 子供達用に小さめに切って焼いた餅を皿に乗せると、茜が真っ先に手を出して、焼けた餅の熱さにびっくりしていた。

「どしたの?」
「あつい……」
「少し冷めれば大丈夫。ふーふーしてごらん?」

 二人で一生懸命に、焼いた餅に息を吹き掛ける様を微笑ましく眺めながら、自分達の分の餅を取り出して焼き始める。

「おいしー」
「あま~い」

 やっと指先で触れる程度の熱さになったらしく、砂糖醤油につけて食べる双子は、にこにこ顔だ。

「……幸せそうだなぁ」
「……ですね」

 茜と葵の、幸せそうな笑顔に、政二と詩春の心がほっこりと明るくなる。同時に淋しさも過ぎるけれど、それを必死に覆い隠す。
 悟られては不安にさせるだけなのを、知っているから。

「熱っ!」

 そんな事を考えていたら、いつの間にか手元が疎かになっていたらしい。フライパンの縁に指先が当たり、慌てて手を離す。

「大丈夫!?」

 がたん、と大きな椅子を引く音がして、無意識に引いた腕を、政二の大きな手が引き寄せた。

「火傷した?」
「あ、大丈夫ですよ? 全然大した事ありません」

 一瞬の熱さを感じた程度では、大きな火傷には繋がらない。料理をする詩春にとっては、これくらいは日常茶飯事だ。

「それならいいけど……気をつけてね?」

 熱さを感じた指先の皮膚の色が変わっていない事を確かめた政二の手が、詩春の手の甲を撫でて離れていく。
 触れられていた時は何も感じなかったのに、離れていくその手を見た瞬間、詩春は顔が赤くなる自分を自覚して、慌てて俯き、長い髪で顔を隠した。

(し、心配されただけなのに……っ)

 触れられた事を意識するだけで早くなる鼓動を鎮めようと、詩春は必死になりながら目の前のフライパンに集中した。
 やがて焼き終わった餅を、詩春と政二も食べていると、食べ終わったらしい茜と葵がじーっ、と詩春を見つめ。

「おかわりー!」
「もっとたべるー!」
「え!? もっと!?」

 滅多に食べないもので、しかも美味しいものだったからなのか、普段はあまり食欲のない葵までが、詩春達の皿に残っている餅を狙っている。

「やめとけ、あとできついから!」
「そ、そうだよ、お腹痛くなっちゃうよ!?」
「胃もたれどころじゃなくなるよね……」
「はい、きっと……」

 あまり食べすぎては、今度は夕飯が入らなくなってしまう。それを危惧した政二と詩春は、頑として新たな餅を焼くことを拒否した。
 とにかく二人の目の前から餅を無くそうと、ゆっくり食べることも忘れて、無言になったその時。

「む~……」
「ん~……」
「……中村さん」
「はい? あははははっ」

 名を呼ばれて顔を上げ、政二が指差した先を見た詩春は、次の瞬間笑い出した。

「茜、葵。お前ら顔が餅になってるぞ?」

 少し目を離していた間に、茜と葵のふくふくした頬が、限界まで膨らんでいたのだ。その表情は、蒸し焼きにした餅のようで、政二も喉の奥で笑う。

「また明日食べられるから、今日は我慢。な?」
「あした……」
「たべる……?」
「うん、明日もまた焼くよ。まだまだたくさんお餅あるから」

 ほら、と切った餅が入った袋を冷蔵庫から取り出して見せると、双子の顔は途端に明るくなった。

「ほら、これから初詣に行くんだから着替えておいで。向こうで綿飴食べるんだろ?」

 去年、詩春が「雲のプレゼント」と言った綿飴も、茜と葵には滅多に食べられないものだ。別の食べ物で釣るのは少し心苦しかったけれど、双子はすぐさま部屋へと駆けて行った。

「甘いの好きだよね、あいつら……」
「ふふ、そうですね」
「……ぶくぶく太ったらどうしようか」
「……そうなる前に気をつけるしかないと思います……よ?」

 だよね、と、政二は肩を落とし、詩春は苦笑して。双子の行く末を少し案じてしまった。


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