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12/13 チランジア 「不屈」

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拍手SSの再掲です。

12/13 チランジア 「不屈」
図書館戦争 堂上×郁


「……お前の原動力は、何だったんだろうな?」
「なぁに? 篤さん」

 二人でのんびりと食後のコーヒーを飲んでいた時、不意に、そう篤が切り出してきた。

「教育期間中の頃、お前は俺がどれだけきつい訓練をさせてもへこたれなかっただろう? 不屈とも言える程。……その礎は何だったのかと思ってな」
「決まってるじゃないですか、『王子様』ですよ?」
「お前なあ……」

 二度と使われたくない呼称だっただけに、篤はがくりと頭を落とす。昔だったら怒ったような顔をしながら照れていただろうけれど、今ではこんな風に自然な顔を見せてくれることが本当に嬉しい。くすくすと笑いながらコーヒーカップをソーサーに置いた。

「憧れたのは本当だけど……でもやっぱり一番は、『本を守りたかったから』だと思います」

 高校の頃、狩られる痛みを知ってしまったあの時。それを守ってくれた人がいること。『本』という別の世界を知るのはとても楽しかったから、その世界を、勝手な判断で奪う良化法が許せなかった。

「それに、あの頃があったからこそ、あたしはへこたれないでいられたんです」

 稲嶺司令と共に誘拐された時も、茨城県展の時も。数え上げればきりがないけれど、あの時厳しく育て上げてくれた鬼教官がいてくれたから、郁は今、どんな案件でもこなせるようになった。

「だから、『不屈』というのなら……堂上教官の教え方がそうだったんじゃないかと思います」

 どんな困難にでも立ち向かえるように。頭でものを考えて、冷静に判断するのは未だに苦手だけれど、それでも、その場その場で最善と思える行動は出来るようになってきた。……はずだ。

「王子様だと知る前からずっと……あたしはあなたの背中を追いかけてましたから」

 追いかけて、追いつきたくて、それでもまだまだ追いつけなくて。夫婦という対等の立場を得ることは出来たけれど、上司と部下、同じ場所で働く『公』の場では、その背中はあまりにも遠い。

「……なかなか追いつかせてくれませんね」

 隣にある背中に触れようと手を伸ばせば、その手を取られて軽く引き寄せられる。

「阿呆。お前に追いつかれる日なんぞ来たら困る」
「……それって遠回しに馬鹿だって言ってます?」

 違うよ、と抱き締められた耳元で笑われて、郁の心臓が少し跳ねる。

「お前に男心を理解しろって方が無理だよな……」

 呟かれた言葉の意味が解らなくて首を傾げると、「お前はそのままで良いよ」と優しく微笑まれてしまった。


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