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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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Angel's Ladder 【2】 誓い

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一緒に物語を作って♪ Part4の回答を元に作った物語です。

『私があなた達を必ず治す……!』


 目に映るのは、体中を傷だらけにした天使達。否、人間ならば流れた血の量から見ればとうに死んでいるであろう。四肢を切り落とされた天使を見て、フィルカは酷い事を、と唇を噛んだ。
 天使は死なない。死ぬというのは生まれ変わりを意味する時だけだ。体を切り刻まれても、長い長い時をかければいつかは再生する。その場合、精神ごとの再生になる為に、かつての天使としての記憶は失われるけれど。

「……あの男────名をギアドと言うのですが、あの男の実験台にされた者達です」
「実験台ですって?」
「はい。天使の不老不死の秘密を暴くのだと……」
「そんな事、出来るわけがないでしょう!」

 フィルカがそう叫ぶと、元の部屋にいた捕らわれた天使達が口々に叫び出す。

「そうです、出来るはずがないんです!」
「私達の体は、神から与えられたもの」
「神の力を手に入れぬ限りは無理な話です!」
「けれど神の力は、人には過ぎた力」
「ならば、我らを依り代として不老不死となってみせる、などと!」

 怒りに燃える天使達を宥めるように、エナの静かな声が部屋に響き渡る。

「あの男は、妄想に取り憑かれています。なまじ強い魔法の力を持つが故に、己の力は未来永劫この世に在らねばならぬ、と」

 人間とは、いつからそんなに強欲になったのか。フィルカの知るかつての人間は、素直で、優しい者達ばかりだった。天使であるフィルカを尊敬こそすれ、害を加えるような事はなかったのに。
 こんな……片腕を切り落とされたり、頸動脈をばっさり切られたり、挙げ句の果てには四肢さえ切り落とされるような、そんな残酷な事をされる理由など、どこにもない。

「……完全に治してあげられればいいのですが……私達の力では……」

 悔しげに顔を歪ませる、未だ無傷の天使達。視線の先には、切り落とされた四肢。それは再生を待つかのように蠢いている。
 いつ、この惨劇が我が身に襲いかかるか解らない恐怖と戦いながら、彼らは毎日、日が経つごとに増えていく傷だらけの天使達の治療をしていたのだろうか。
 下位天使の力では、数十人がかりで力を使ってもおそらく、切り落とされた部位の腐敗を防ぎ、流れ出ようとする血を僅かでも止める事しか、出来ないと解っていても。

「……私の聖力でも、すぐには治せないわ……でも」

 フィルカは一度、言葉を切った。彼らの傷を治す事が本当に良い事かどうか、解らない。

「……治さない方が、良いのかも知れない……」
「フィルカ様?」
「時間をかけてでも治ってしまえば、彼らはまた実験台にされるでしょう。でもそれは、あなた達も────私もだけど────傷つく事になる」

 今のところ、フィルカの聖力さえ封じたあの魔法の鎖の構成を見破る事が出来ない。そうでなくても、この足に付けられた魔法の枷さえ外す事が出来ればきっと逃げられる。けれど、それを実行に移すまでに、どれほどの時間がかかるのか……。
 誰かが犠牲にならなければならない。それがフィルカだけならば良い。しかしフィルカとて、これほどまでの損害を体に与えられて、一晩で回復出来るとも思えない。そしてその間に、別の天使が実験台とされるのは目に見えている。
 躊躇うフィルカの周囲に、一人、また一人と動ける天使達が集まってくる。

「……それは皆、覚悟の上です」

 エナの瞳が、力強く輝く。

「これ以上の傷を負わせるぐらいなら」

 まだ若い、少年のような面差しの天使が告げる。

「ですから、治してあげて下さい、フィルカ様」
「フィルカ様」

 同じ決意を宿した、たくさんの瞳に見つめられ、フィルカは小さく息を吐いて苦笑した。

「……あなた達は、本当に……」
「……傷は我らが背負います。フィルカ様は、我らを捕らえるこの枷を解く方法を」

 フィルカは決して傷付くなと言われ、思わずカッとなる。下位の天使に指図する事はあれど、指図される謂われはない。

「馬鹿を言わないで! あなた達だけにそんな……!」
「出来るのは、フィルカ様だけです!! 我らの力では何も……っ!」

 逃げられるのならば、とっくに────……。

 そんな悲痛な言葉を聞いた気がして、フィルカは自分を恥じた。そうだ、さっき考えたばかりではないか。
 この魔法の枷さえ外す事が出来れば、と。

「……解ったわ。その代わり、どんな傷でも、どんなに時間がかかっても。私があなた達を必ず治す……!」

 その言葉を誓いとして。皆が力強く頷いた。

 そして、フィルカは下位の天使達を犠牲にする罪悪感に耐えながらも、ギアドに酷い仕打ちを受けた天使達を力の限り癒し、足首の枷を解く方法を探し続けた。

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