Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Angel's Ladder 【1】 幽囚

目次へ  一次創作Index

一緒に物語を作って♪ Part4の回答を元に作った物語です。

『……な……っ! ……何なの、これ……っ!』


 神から使命を与えられたこの身が、一人の人間に捕らえられたのはいつだったろう。天使であるフィルカにさえ長く長く過ぎた時は、人間の人生に換算したら何世代を重ねたことになるのか。
 現に、フィルカを捕らえ、足首に魔法の枷をつけた男は既にこの世に亡い。

 閉じ込められているこの部屋は、魔法で全てを管理されている。外は真冬を示すように雪が舞うけれど、この部屋だけはいつも快適な温度に維持されている。
 それは、フィルカをここに閉じ込めたきっかけとなった男の魔法ではない。今まさに、躊躇うようにゆっくりと階段を登ってくるその人物の、ささやかながらの心遣い────。

 足音が、扉の前で止まる。小さなノックの音の後、ギィィ、と軋みながら扉が開く。
 何も言わずに、ただ扉の向こうを見ていたフィルカは、思わず息を呑んだ。
 つい昨日まで、爽やかな笑顔でこの部屋を訪れていた彼が、沈痛な表情をしていたからだ。否、沈痛な表情と言うよりも、既に生気さえ無くしているかのような……。

「……あなたを、そらへ帰します」

 ゆっくりと告げられたその言葉に、フィルカは目を瞠った。

*****

 地上に降りた天使が、相次いで行方不明になる事件が起きた。その数は瞬く間に20数名を越え、その事態を重く見た神は、その原因を調べよと、高位天使であるフィルカに命じた。
 フィルカは受諾の意を告げてすぐに地上へと降り……数分も経たぬ内に魔法の鎖に捕らわれた。

(まぁ、わざとだけど)

 天使が地上で行方不明になるなど、普通ならば考えられない。それは人間に捕らわれたと考えるのが自然であった。
 あえて罠にかかり、魔法の鎖に捕らわれたフィルカが連れて来られたのは、広大な敷地の一角に建てられた洋館の中。
 見えない魔法の鎖に引き立てられるように、フィルカは男の後ろをゆっくりと歩いて行く。時折、苛立つように男がぐいっ、と鎖を引いて、フィルカは何度かバランスを崩しそうになったけれど。

(……良く出来た鎖だこと)

 天使が持つ聖力も、翔ぶ為の翼さえ封じるとは、一体どういう魔法を編み出したのか。ましてフィルカは高位天使の一人だ。今まで捕らえられた下位天使とは、力も桁違いなはずなのに。
 そんな事を考えていると、いつの間にか目的地へと辿り着いたらしい。開かれた扉の中に、強引に体を押し込まれる。

「フィルカ様……!?」

 名を呼ばれ、フィルカは暗闇の中に瞳を凝らした。そして、数日前まで見ていた、可愛い妹分の姿を認めて、思わず顔を綻ばせる。

「エナ、ソニア! 良かった、無事だったのね」
「どうして、何故フィルカ様が……! お前!」

 フィルカを捕らえた男を、エナが怒りを込めて呼ぶ。

「フィルカ様を捕らえるなど、どういうつもりです!」
「……様、って事は、あんたらの上……なら、力も桁違いって事だよな?」

 にやり、と下卑た笑みを浮かべる男に、エナはくっ、と唇を噛んだ。余計な情報を与えてしまったと悔やんでも、もう遅い。男は下卑た笑みを浮かべたまま、ガハハと大口を開けて愉悦に浸る。

「そりゃいい拾い物をした! 明日もう一度来る、さすがに今回ばかりは俺も疲れたからな」

 何の説明もないまま、扉はゆっくりと閉じ、鍵もしっかりとかけられる。それと同時に、フィルカの聖力を封じていた魔法の鎖も解かれていた。

「フィルカ様」
「フィルカ様、何故……」

 その部屋には、数十人の天使が男女問わず捕らえられていた。皆、同じ様に足首に魔法の枷を付けられている。フィルカは虹色に輝くそれが、天使の証とも言える翼を封じているのだと気付いた。

(翼の封印さえ解ければ、みんなをそらに帰す事が出来る……)

 とりあえずはそれが目標だと心に決めて、訊ねた。

「行方不明になった全員……には、人数が足りないわね」
「あ……はい、隣の部屋に、まだ……」

 こちらに、とソニアが先立って歩き、フィルカからは見えなかった扉が開かれる。そして、一歩踏み込んだフィルカの鼻をつく異臭……。充満するのは……血の匂い。

「……な……っ! ……何なの、これ……っ!」

 フィルカの叫びは、部屋に空しく響くだけだった。


目次 → 【2】へ 
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。