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12/07 ヒイラギ 「用心深さ」

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拍手SSの再掲です。

12/07 ヒイラギ 「用心深さ」
夢界異邦人 凜×紅美



 夢界は、その人の心。どんな想定も役には立たないのが常で、だからこそ凜は慎重に、用心深く治療を施していたのだが。
 でしゃばって一緒に夢界に入り込んできた紅美のおかげで、流れが若干変わってしまった。

「ったく、お前があんな事しなきゃ……!」
「仕方ないでしょ! まさか夢界に入った途端に海に溺れるなんて思わなかったんだから!」

 海は、この患者の心。それも、ほぼ風のない、波さえ立たぬ穏やかな海だ。そしてその中にぽつんとある、結界で守られた海中都市が患者の世界。というのに、夢界に入り込んだ途端に海に溺れた紅美を、凜が助け出すまでの間に、彼女はあろうことかその結界に穴を開けてしまったのだ。
 ごく小さなその穴からは、徐々に水が漏れ出し、海中都市は大パニックに陥った。
 どうにか穴を塞ぎ、二人で海中都市に潜り込み、目覚めを促す治療を施して、二人は夢界から現実へと戻った。

「……紅美。夢界異邦人おれたちは異物なんだ。だからこそ、用心深さを忘れちゃいけない」
「……ごめん。今回は、私が悪いわ」

 感情のままに凜の後を追いかけて、結果、人一人の心を壊しかねなかったのだから。

「────解ってるなら、いい」
「凜?」
「あ……やっぱり痣になってるな」

 夢界で血を流した傷は、現実では紫色の痣になる。紅美の足首にそっと触れて「痛みは?」と訊ねる。

「痛みはないわ、大丈夫……って! どこ触ってんのよ凜っ」
「俺は怪我の具合を見ただけだ!」

 ぎゃあぎゃあと言い争うその場所が、一つのベッドの上だという事に気付かぬ二人。そこに投げられたのは、静かに様子を伺う声。

「凜さん、紅美さん? 戻られたんですか?」

 かちゃり、とドアノブが回される音に、紅美が一気に我に返る。

「きゃあ!?」
「馬鹿!」

 いつの間にか近くなっていた凜との距離に驚いて、慌てて身を離そうとした途端、力強く肩を引き寄せられた。

「落ちたら危ないだろっ」

 凜の声が、頭上から聞こえて。頬には、凜が着ているシャツの感触と温もりが伝わって。

「ゆ、油断しただけよ……っ」

 口ではそんな強がりを言いながら、紅美の鼓動は早くなっていく。

「あ、えぇと……お邪魔でしたか?」

 図らずも凜が紅美を抱き寄せる場面を目撃してしまった拓也の呟きに、二人は「そんなんじゃない!」と声を合わせた。

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