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12/06 ピラカンサ 「慈悲」

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拍手SSの再掲です。

12/06 ピラカンサ 「慈悲」
暁のヨナ テジュン


 知らなかった。何も。無知が罪だということさえ。身分の上に胡座をかき、玉座を取り戻す事だけを考えさせられていた。

「テジュン様」
 暗黒龍とゆかいな腹へり達────ヨナが旅立った朝、彩火から運び込まれた食料に対する書類に署名をしている時に、名を呼ばれた。

「キルソンか、どうした?」
「いえ、まだきちんとお礼を言っていませんでしたから」

 そうしてキルソンは、ゆっくりと地面に膝をつき、平伏した。

「私のような一介の兵士に、慈悲をおかけくださり……ありがとうございました」

 違う。慈悲などではない。ただ、ヨナに認めてもらいたい一心で……。その行動に、感謝される謂れはない。

「……礼を言うのは、私の方だ」

 キルソンに顔を上げるように告げ、自身も彼と視線を合わせるように、地面に片膝をつく。

「命は等価値なのだと、知る事が出来た」
「そんな……っ、テジュン様と我々では」
「確かに立場の違い、身分の違いはある。だが、命は一つしかない」

 そんな当たり前の事に、気付く事なく今まで生きてきた。

「すまなかった」

 兵士はただの駒。いくらでも替えは効く。そんな考えは、賊として民を助けようとするヨナを見て、変わった。

「テジュン様が頭を下げられることはありません!」
「そうですよ、皆、テジュン様の慈悲に感謝しておりますよ!?」

 いつの間に来たのか、他の兵士達が何事かとテジュンの元に集まっていた。

「これは、慈悲ではない。……私が、見ぬ振りをしていた事だ。私が、やらねばならなかった事だ」

 託されたのだ、火の部族の民を。他の誰でもない、彼のヨナ姫に。

「言うなれば罪滅ぼしですね」
「ぐっ……!」

 言わずにいた言葉をフクチにあっさりと言われてしまう。

「まぁ、いいんじゃないですか」
「そうですよテジュン様、少なくとも民にとっては楽になるはずですから!」

 言葉が違うだけで、やる事は何も変わらない。村を整備し、医術で流行病を治して。いつかそれが、火の部族の発展に繋がることを願う。
 だから今は、彼の姫に託されたものを守り抜く。慈悲ではなく、己に課せられた義務を果たす為に。


暁のヨナ 目次

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