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12/03 ポインセチア<赤> 「祝福」

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12/03 ポインセチア<赤> 祝福
暁のヨナ ハク→スウォン×ヨナ


「あっ、ハク!」

 婚礼の衣装に身を包み、暁の空の色の髪は、今日もまた跳ねて結い上げられなかったのだろう。おろしたまま、簪をさしたヨナが鏡に映ったハクを見つけて笑った。

「……ご結婚、おめでとうございます。ヨナ姫様」
「ありがとう」
「これまで長かったですねぇ……」

 わざと遠い目をして、意地の悪いことを告げると、ヨナは長い髪を揺らして、ふいっ、とそっぽを向いてしまった。

「わ、私のせいじゃないわよ! ……多分」
「スウォン様も疎いというか鈍いというかでしたからね。……ヨナ姫も似たよーなもんでしたが」
「何か言った?」
「いえ何も?」

 ヨナの16歳の誕生日から、既に4年の月日が流れたこの日、スウォンとヨナの結婚式が行われる。
 ずっと傍で見てきた二人が、ゆっくりとでも確実に幸せになっていく様を見てきたハクにとって、今日は一つの想いが消える日であり、またかつてのように三人、共に過ごせる日々の始まりでもあった。

「あのね、ハク」
「はい?」
「今まで、ありがと。これからも、よろしくね?」

 椅子に座ったままの姿勢で、首を僅かに傾げながら、幸せそうに微笑むヨナに向かって、ハクは跪き、頭を垂れた。これからは、主君の伴侶として守るべき彼女に。

「……この身、朽ち果てるまで」
「もう、そんなんじゃなくて!」
「はいはい、姫さんのお守りデスネー」
「お前は……っ!」
「あはは、何だか賑やかですねぇ」
「スウォン様」

 にこにこと笑いながら入ってきたスウォンの姿を認めて名を呼べば、「様も敬語もなしですよ、ハク」と釘を刺されてしまう。

「……一応一国の王でしょうが」
「その前にハクの幼馴染みです。スウォンと呼ばなければ返事しないことにします」
「あ、じゃあ私も! もう姫じゃなくなるし、ヨナって呼んで?」

 スウォンに便乗して、ヨナまでがそんなことを言い出して。ハクは呆れたように溜息をついた。

「……あんたら、身分ってもの解ってるんですか?」
「ははっ、怒られちゃいました」

 ああ、スウォンが笑っている。ヨナも、イル王も、……ハクも。今日という日を待ち侘びて────。

(……違う)

 は、と夢から目が覚めた時、左肩に感じた重みと温もりに気付いた。

(姫さん……)

 スウォンなら、ヨナを大事にしてくれる。幸福にしてくれる。結婚するというのなら、ハクはきっと、この想いを封じて祝福しただろうに。
 そんな願いも、決意も、幻と消えた今。祝福などとは遠い道を、ハクは歩き続けている。


暁のヨナ 目次

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