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12/02 ヘリコニア 「風変わり」

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12/02 ヘリコニア 「風変わり」
執事様のお気に入り 伯王×良


「片手はまっすぐで、片手は手前から奥に……こうやるの」
「ずるいぞ良っ、何でそんなに早いんだ!」
「え、だって昔もやったから……」

 着々と手元にある藁を編んでいく良と、なかなか長くもならず、太さも一定しない理皇の会話を聞いた庵が笑う。

「……本当、氷村さんて風変わりだよね」
「人の主人捕まえて、風変わりとはなんだ」
「え、だってこれ以上的確に氷村さんに当て嵌まる言葉、ある?」
「そもそも藁編みを喜々としてやるお嬢様はいないと思うぞ?」
「……確かに、な」

 きっかけは、理皇の「しめ繩ってどうやって作るの?」の一言。知識として知ってはいても、実際にやったことがない伯王達に良が助け舟を出し、「いいところがあるよ!」と連れ出されたのは、かつて良が住んでいた町の郊外にある田園だった。
 子供の頃に、藁編みの体験教室があり、父と一緒に毎年参加して、結果顔見知りになったという農家に「おや良ちゃんじゃないか!」と歓迎され、余っていた藁で藁編み教室が始まったのだ。

「こうか? 違う、うーん……」
「頭で悩むより、手を動かした方がいいよー?」
「解ってる!」

 と、答えはするものの、なかなか手が進まない理皇を見かねて、農家の主人が横で手本を見せてくれる。それに任せて、良は伯王の隣へと歩み寄った。

「わ、伯王すごい、上手上手!」

 いつの間にか伯王の手元にある縄は、1メートルを超えていた。偉い偉い、と良が頭を撫でると、伯王は「子供扱いするな」と拗ねた。

「良ちゃん、お茶にしないかい? イナゴの佃煮もあるよー」
「あ、はーい!」
「って、待て氷村っ! イナゴって……蝗、だよな……?」
「そうだよ?」

 良はこともなげにこくん、と頷く。あまりにも呆気ないその仕草に、伯王だけではなく庵と隼斗までが顔を引きつらせる。

「今は全然食べなくなったけど、昔はよく食べてたんだ~」
「だ、だって虫だろ……?」
「虫って栄養あるんだよ? エスカルゴとかだってそうだし……さすがにカタツムリは食べたくないけど」

 イナゴもカタツムリも一緒だろう! と男三人が心の中で突っ込んでいることに気付かぬまま、良は弾むような足取りで縁側に寄っていく。恰幅の良いおばさんと和やかに会話をしながら、彼女が食べているのは……件の佃煮だろう。

「……藁編みだけじゃなくて、イナゴも食べられるお嬢様、だね」

 これを風変わりと言わず何という。トドメを刺された気がして、伯王は深い溜息をついた。


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