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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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虹霞~僕らの命の音~ 声を聞かせて

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 今日はいつもお世話になっている「空想 i 」の朱音さんのお誕生日です♪
 お祝いにまたまた虹霞を書かせて頂きました。「また!?」とか言われそうな予感がしなくもない……(笑)

 では、追記からどうぞ。



「あっ、リクいたぁ!」
「わわっ、ハル? どうしたのさ?」

 用事があるからと出掛ける妖華と月花を見送った後、パタパタと走ってきた春雷に勢いよく抱き着かれ、六耀はたたらを踏んだ。

「あのね! 大変なの!」
「え?」
「トキ、喋れなくなっちゃった!」
「ええ!? どうして?」

 何がどうしてそうなった、と訊ねれば、彼女は少し呼吸を落ち着かせてから話し出した。

「朝起きたら、何でか喋れなくなってて、お医者さんに診てもらったっていうんだけど……」
「原因不明、って事?」

 さっすがリク! とでも言いたげに頷く春雷が続ける。

「喉とかが痛いわけじゃないし、身体的でも精神的なものでもないなら、魔法関係かと思って……それなら、ヨーカン達のが詳しいと思ったのに、二人ともいないんだもん。だからリクを探してたの」

 確かに今しがた、妖華も月花も出掛けたばかりだ。しかも2日は戻らない予定だと聞いている。

「で、時雨は?」
「お部屋にいるよ。声が出ないこと以外は何も変わらないから、書庫から借りてきた本を読んでるって。……トキ、平気な顔してるけど、何だか心配で……」
「解った、とりあえず行ってみるよ。そんな心配そうな顔しないで、ハルは桜と一緒にお茶でも飲んで待ってて?」

 春雷を慰めるように、そっと頭を撫でると、彼女は嬉しそうにコクン、と頷いた。
 そして六耀は、時雨の部屋へと向かい歩きだす。その足がどんどん速くなるのは何故なのか、自覚せぬまま。

「時雨? いる?」

 コンコン、とノックをして、いつもなら聞こえる声は今は出ない事に気づく。が、耳にノックの音が届いたらしく、時雨はドアを開けて、驚いた表情を見せた。

『りくよ……』

 声が出ないことを、時雨自身も忘れているらしい。思わず動く唇は言葉を象るものの、声は……。

「……やっぱり、声出ないんだ? ハルから聞いて……」

 あいつめ、と時雨は苦笑した。仕草で部屋に入るように促し、六耀が足を踏み入れる。テーブルに導き、椅子を引いて彼女を座らせる。
 真向かいに座ろうとした時雨の服を、六耀がそっと掴んで引き止めた。

「朝起きたら、喋れなくなってたって……」

 こく、と縦に頷いて肯定。

「思い当たる原因は?」

 今度はふるふると首を横に振る。昨日の夜までは本当に何ともなかったのだ。

「喉が痛いとかでもないんだよね?」

 頷き、時雨はテーブルの上に置いていた紙にさらさらと筆を走らせた。

【体に異常はないんだ。ホントにただ声が出ないだけで】
「そっか……。魔力とかは感じる?」

 また首を横に振る。もし、時雨自身の魔力が狂っているのなら、それを確かめる術はない。

【六耀は何か感じるか?】

 魔力の残滓があるのなら、と、時雨は期待を込めた瞳で六耀を見つめ、六耀は時雨の体に宿る魔力に異常がないかを探り始めた。

「……僕じゃ解らないみたい。だからとりあえず、えいっ」
『な!?』

 軽やかな声とともに放たれたのは、火系の初級魔法。慌てて避けた時雨の代わりに被害を被ったのは、置いてあったクッションだ。
 ボッ、と小さな火が勢いを増し、時雨はわたわたとクッションを床に叩きつけて、火を消した。

『り、六耀!?』
「ん~、じゃあこっちかな。メイオ」
『ちょっと待てーっ!!』

 危うくメイオンまで放たれそうになって、時雨は反射的に六耀の手を握り締めた。

『部屋を黒焦げにする気か!?』

 と、時雨は唇の動きだけで伝えようとするも、六耀には伝わらず、彼女は「出ないね、声」と落胆気味だ。

(……つーか、いきなり魔法攻撃かよ……)

 攻撃魔法に驚けば声が出ると思ったのだろうが、極端すぎやしないかと時雨は呆れた。

【どうしたんだ? 六耀】

 時雨が言葉を書き付けた紙を、六耀の目の前に掲げて見せると、六耀は「だって……」と肩を落とした。

(何で僕、ショックなんだろう?)

 時雨の声が出ないだけ。身体的、精神的にも問題はない。原因は解らなくとも、彼自身はあまり気にしていないように見える。
 だけど、時雨の声が……いつもならうるさいぐらいに聞こえる声が無いと、何故だか、淋しい。
 六耀、と呼ぶ低い声。時にはからかいを含み、時にはこちらを縛る程の力強さを持つ、彼の声。
 六耀と違って、たくさんの感情の色を持つ時雨の声を、聞きたいと思った。

(って言ったら、時雨、どんな顔するかな……)

 俯いたまま、六耀が何も言わずにいると。ふわりと温かな感覚に包まれた。

「え……時雨?」

 時雨の白髪が、六耀の顔の真横にあって、子供をあやすようにポンポンと背中を叩かれる。抱き締められていると気付いても、逃げようとも離れようとも思わなかった。
 大丈夫、俺は平気だから。そんな風に言われているようで。

「不安じゃ、ない?」

 問い掛ければ、時雨は体を離してにっこりと笑う。彼の手が、六耀の白い頬をそっと撫でる。

【六耀がいるから、不安じゃない。だから、そんな顔するなって】

 おまけ、とばかりに額を人差し指で突かれて、六耀は思わず左手で額を押さえた。

「……その根拠はなに……」

 くくっ、と喉の奥で笑う時雨に、自分の照れ隠しなど見通されているようで、六耀は顔を逸らした。

【そのうち治るよ、きっと】

 とんとん、と肩を叩かれて振り向けば、紙に記された言葉はあまりにも楽観的で。

「……脳天気……」
『何だと?』

 言葉の仕返しのように、時雨の腕が六耀の首に勢いよく巻き付いた。

「わっ、時雨やめてよ!」
『だぁれが脳天気だって?』
「くすぐったいって、あはははっ」

 六耀の笑い声は部屋の外にまで響き、様子を見に来た春雷と桜に、六耀が壊れたかと訝しがられた。

 そして2日後────妖華と月花が帰って来た事を知るや否や、六耀は二人を時雨の元へと連れて行き、原因不明であることを告げると……。

「あらぁ? とっくに解けてるものだと思ってたのに」
「まだまだ改良が必要だねぇ」

 呑気に頷く師匠二人に、弟子達は思わずきょとんとした。

「えっと……妖華? 月花?」
「あのね、六耀ちゃん」

 と、月花が楽しそうに話し始めた。結論からいえば、とある魔法を時雨に試したのだと。それは一定時間喋れなくなるだけのはずだったのだが、どうやら失敗したらしく、未だに時雨は話せない、というわけだ。

【そんな魔法、かけられた覚えないぞ!?】

 時雨がそう紙に書くと、月花はにんまりと笑った。

「だって魔法をかけたのは別のものだもの。時雨、飴玉食べたでしょ?」

(飴? 確かにレモン味の飴を食べたけど……って待てよ?)

【その飴玉に仕込んでたってことか!?】
「「ご明答♪」」

 あまりにもあっさりと答えられて、時雨はガクリと肩を落とした。六耀も何を言っていいのか解らずに立ち尽くす。

「まぁ、安心しなさいな。長くても3日の『予定』だから」
【その言葉が既に当てにならんっ!】

 かくして時雨の声が戻るには、更に2日を要したという。



※後書き
 今回は時雨さんに災難を吹っ掛けてみました~。
 この後、声を取り戻した時雨さんは、しつこい位に六耀さんの名前を呼んでいると良いなぁ。で、さすがに鬱陶しくなった六耀さんが、師匠二人に飴玉を貰いに行ってたりして……たら、報われないなぁ……(笑)
 朱音さん、お誕生日おめでとうございます♪ お気に召しましたら煮るなり焼くなり加筆するなりお好きにどうぞです~。
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