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拍手SS 暁のヨナ 「答えのない疑問」

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2012年 7月 携帯用SS
暁のヨナ ハク×ヨナ


 ねぇ、スウォン。どうしてあの時、私の姿を隠してくれたの……?

 スウォンと会った事を告げて、イクスが去って行った後も、ヨナはその場に佇んでいた。

「ハク……」

 背後のうっすらとした気配に名を呼べば、ハクの姿が月明かりに照らし出される。

「……気づいてましたか」
「……ハクこそ、気づいていたんでしょう?」

 私が、スウォンと会った事────。言外に告げたヨナの隣に、ハクが並ぶ。

「あんたがあんな風に泣き崩れるなら……相手は限られてますからね」
「……本当、ハクには敵わないわ。私の事お見通しなんだもの」
「そりゃ、ずっと見てましたから」
「そうね……ずっと、一緒だった」

 幼い頃は遊び相手として。少し大きくなってからは、専属護衛として傍にいた。そこに時折、彼がやって来て。彼の想いなど知らず、ただ純粋に慕っていた。

「あの人……私を、隠してくれたの。ジュド将軍から……」
「そう、ですか」
「あの時は驚いて、何も考えられなかったけれど、今は……」
「姫さん?」

 声が震えている事に気づいたハクの手が届く前に、ヨナは押し出すように言葉を紡いだ。

「っ、今考えると、疑問ばかり浮かぶのよっ……!」

 あの時、見つかるわけにはいかなかった、逃げようと思った。捕まるわけにはいかなかった、それは確かだけれど。
 スウォンに庇われて隠されるなんてそんな事、考えてもいなかったのに。

「どうして私を隠したの! どうして私を見逃したの! どうして……っ!」

 あんな優しい顔で、さよならと告げたのだろう。別れを惜しむかのように、静かに頬を撫でたのだろう。「どうして」と、答える相手のない疑問の言葉は次から次へとあふれ出す。
 微かに触れた温もりを、拒絶するかのように、ヨナは両腕で自分の体を抱きしめた。

「解らない……っ! あの人が何を考えているのか、どうしたいのか、解らない……っ!!」

 今更彼を理解しようなんて出来るはずもないことは解っている。ヨナは彼から逃げる身で、彼は父の仇なのだから。

「……俺にも、解りません」
「ハク……」
「今は、スウォンのことを考えても仕方ありませんよ。俺達は俺達で、やれることをやるしかないんです」
「……うん、そうね……」

 今は、自分の進む道のことだけを考えよう。夜空に輝く月を見上げたヨナの髪を、ハクの大きな手がそっと撫でた。


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