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11/28 キルタンサス 「はずかしがり」

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11/28 キルタンサス 「はずかしがり」
LOVE SO LIFE 政二×詩春



「みんなで食べようと思って買ってきたんだ」

 帰宅した政二に差し出されたのは、白い箱。

「ケーキ、ですか?」
「けーき!?」

 詩春の声が聞こえたのか、リビングから茜が目をキラキラさせながら飛び出して来る。

「けーきたべる~!」
「わわっ」
「こら茜っ、中村さんに飛びついたらケーキぐちゃぐちゃになるぞ!」

 詩春の両足に、茜が勢いよく突進してきて傾いだ体を、政二がその手で支えてくれる。

「大丈夫? 中村さん」
「え、あ、だ、大丈夫、です! け、ケーキ、取り皿に分けてきますねっ!」

 逃げるように政二から離れ、台所へ駆け込み、そして……はぁ、と溜め息をついた。
 彼を好きだと自覚したはいいものの、それによる弊害に詩春は戸惑っていた。さっきのように、不意に触れられると、あの日、抱きしめられた事を思い出してしまう。

(……じ、自己暗示、全然効かない~……)

 あれはただ、泣いてた詩春を慰めてくれただけ。そのはずなのに。
 政二の腕の温かさを、彼の大人な優しさに包まれた自分を思い出して、平静ではいられなくなる。そうすると、まともに顔も見られなくなってしまって……。
 こんな自分を見られるのは恥ずかしくて、視線を合わせるのが怖くなる。
 ケーキを取り皿に移し、何か飲み物をと食器棚からカップを取り出す。政二の分と、双子の分と、そして、詩春自身の新しいカップを。

(可愛い……)

 割ってしまったものと似ている、水玉模様のカップ。手にして眺めていると、突然背後から「中村さん?」と声がした。

「きゃあ!?」
「っと、危ない」

 詩春が手を滑らせそうになったカップを、政二の手が伸びてすんでに受け止める。また割ることにならなくて良かったと安堵して振り向いた詩春は、政二との距離の近さにまた驚いた。
 顔に血が上るのが解る。咄嗟に俯いて、「びっくりしました……」と小さな声で呟いた。

「ごめんごめん、運ぶの一人じゃ大変だと思って」
「あ、ありがとうございます。飲み物、何がいいですか?」
「じゃあ、緑茶で。中村さんがいれてくれるお茶、いつも美味しいから」

 政二にとっては何気ない、柔らかな表情。けれど詩春にとっては、心臓に悪い表情。この言い表せない恥ずかしさが消える日は来るのだろうかと悩みながら、詩春はお湯を沸かし始めた。


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