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11/27 山茶花 「愛敬」

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拍手SSの再掲です。

11/27 山茶花 「愛敬」
桜涙 幼馴染み三人組+一海


「朱里ちゃん、見てみて!」
「こら藍里っ、一人ではしゃぐな! っつーか転ぶぞ!」
「大丈夫だよー!」

 先日、ほんの少ししか来られなかったフラワーガーデンに、朱里は来ていた。五月の風は温かく、藍里とそれを追いかける竜城を見る朱里の表情を穏やかにしてくれる。

「元気だなぁ、あいつら」

 保護者代わりに連れて来られてしまった一海の呟きに、朱里はそっと苦笑する。

「本当。昔から、藍里は元気で羨ましいわ」

 誰からも愛されているかのように、いつもニコニコと笑っていて、その笑顔で見る人を和ませてくれていた。幼い頃は、何度あの笑顔に助けられただろう。
 藍里の能力が暴走したあの日から、ついこの間まではずっと……見られなかった、妹の笑顔。

「同じ顔なんだから、お前も笑えばああなるんだぞ?」
「……私、あんなに可愛く笑えないもの」
「あー……まぁ、あそこまではっちゃけて笑えとは、俺も言わん」

 もう高校生だというのに、藍里の笑い方は本当に子供のそれだ。普段から大人しい朱里が突然あんな風に笑っても、驚くだけだろう。

「しっかし、池上も一緒になってはしゃいでるのは何でだ?」
「さあ……?」

 この中で一番子供だとしたら藍里だ、それは多分誰も否定しない。だが、確かに今日の竜城は変だ。いつもより笑っているようだし、いつもより楽しそうに見える。

「……朱里がいるからかな」
「え? 何か言った?」
「いや、何も?」

 朱里自身は気付いていないようだが、一海には何となく理由が分かるような気がした。

「朱里! 来いよ、こっち綺麗だぞ!」
「一海お兄ちゃんも、早くー!」

 似たような仕草で、一海と朱里を呼ぶ竜城と藍里。

「……あいつら、精神年齢は同じみたいだな」

 くくっ、と喉の奥で笑う一海に、朱里は小さく問いかけた。

「教師がそういう事言っていいの?」
「いーんだよ、今日は教師じゃなくて、お前らの保護者なんだから」

 くしゃり、と朱里の頭を撫でてくれる一海の手は大きくて、朱里の顔は自然に緩んだ。
 それは、藍里に似てもいない、朱里だけの小さな笑顔。

「ほら、笑ってる」
「え……」

 自分では無意識だったらしく、緩む頬を朱里が触ろうとした時にはもう、笑みは消えていた。

「女は愛敬なんて言葉もあるけどさ、……朱里はそのままで良いよ」
「一海兄さん?」
「これからお前は、色んな事を覚えていくんだから」

 生きている限り、身の回りに溢れる事象は変化していく。その中にはきっと、朱里が心から楽しめる物もあると思う。一海はもしかしたら、そう言いたかったのかも知れない。
 それ以上の言葉がない代わりに、優しい笑顔が朱里を見つめていた。


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