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11/26 マネッチア 「話し合いましょう」

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拍手SSの再掲です。

11/26 マネッチア 「話し合いましょう」
空の中 高巳×光稀


「産むから」
「……は? え、な、ええ?」

 高巳が仕事から帰ってきてすぐ、目の前に差し出されたのは母子手帳。あまりにも突然過ぎて、高巳の思考回路は停止した。

「だから、産むから」
「ちょ、ちょっと待って光稀さん、頭整理させて」

 高巳と光稀の子供が出来た。それは素直に嬉しい。嬉しいけれど、プロポーズで告げた言葉を高巳は違えるつもりはない。だからこそ、迷った。
 光稀が、どれだけ空を好きか高巳は知っている。子を産むとなれば、必然的に『乗れない』期間が出来る。訓練を休止することで、どんな弊害・事故が起きるか解らない。
 そんな思考に沈んでいた高巳に、目の前から強く決意した言葉が聞こえた。

「高巳がダメだって言っても、私は産むからな!」

 それは高らかな宣言のようで。この話は終わりとばかりに母子手帳を手に立ち上がろうとする光稀の腕を、高巳は慌てて引き止めた。

「待って光稀さん、誰もダメなんて言ってないでしょ!? 勘違いしないの!」
「だって……高巳、ずっと黙ってるから……」

 反対されるのかと思って、と、消え入りそうな声で呟く光稀を、高巳はそっと抱きしめた。

「反対なんかしないよ。……でも、いいの?」
「何が?」
「……空。飛べなくなるんだよ?」

 白鯨事件の時よりも長い期間を飛べなくなるのだ。あの時でさえ飛びたがっていた彼女に、それ以上の時間、飛ぶことを禁止せざるを得なくなる。

「……私を馬鹿にしてるのか?」
「そんなわけないだろ。でも」
「……正直、空を諦めるのは……少し辛い。でもね」

 まだ膨らみさえない下腹部を、ゆっくりと撫でるその顔は既に、「母」だった。

「この子を産めるのは、私だけだから」
「光稀さん……」
「空は、訓練すればまた飛べるけど……この子の命は、この子だけのものだから」

 例えば今、堕胎して、ずっと先の未来で子供を作ることも出来るだろう。けれど今、光稀の中に息づく命は、たった一つ。……命に、替えはない。

「……うん、解った」

 ぎゅう、と強く光稀を抱きしめる。光稀が「苦しいよ」と笑っても、高巳は力を緩めなかった。

「ありがとう、光稀さん」
「ん。……名前、考えなくちゃな」
「そうだね」

 たくさん、たくさん話し合っていこう。生まれて来る子供と、高巳と光稀の、そう遠くない未来を、一緒に。


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