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11/13 ブバルディア 「交際」

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11/13 ブバルディア 「交際」
海の底(有能な彼女) 夏木×望



「夏木さん!」
「走ると転ぶぞー」

 カツカツと響くヒールの音が、彼女の成長を示している。けれど見える笑顔は幼さを残していて……どうにも彼女を子供扱いしてしまう。

「もう! そんなヘマしません!」
「つい昨日も転んでただろーが」
「そうでしたっけ?」

 口調はとぼけて、顔は笑って。こんな風な受け答えも出来るようになったのかと、半ば感心しながら、月日の流れを感じた。どちらからともなく歩きだした途端、そういえば、と望が不意に切り出す。

「冬原さんが、今度二人で遊びにおいで、って」
「……そーいや、お前のせいで冬原にドンペリ奢る羽目になったんだぞ」
「それは連絡先も教えてくれなかった夏木さんの自業自得です!」
「……言うようになったじゃねーか」
「おかげさまで」

 ったく、と呟いて穏やかに彼女の髪を撫でると、くすぐったそうに笑う声が聞こえて来る。

「夏木さん、私……、追い付きましたか?」

 何に、と問い掛ける前に、望が続く言葉を紡ぐ。

「今の夏木さんに釣り合えるくらい、追いつけましたか……?」

 昔の夏木なら、容赦なく髪をぐちゃぐちゃに掻き回してくれただろう。撫でてくれたのは少なくとも望を女性として見てくれている証だろうかと、望は夏木を見上げた。

 その顔が、不安に彩られている。夏木がどう答えようかと悩めば、だんだんと彼女の顔が俯いていく。
 どう言えば、などと考えていると望の事だ、意固地になるのは目に見えていた。

「……あーもう」

 半ば自棄になったような気持ちになって、人気のない路地に入り、夏木は有無を言わさず望の小さな肩を引き寄せて、抱きしめた。さすがに人目のあるところでは行動に移せない。

「な、夏木、さん……?」
「追いつくどころか、追い抜かれそうだ」
「……え……」
「……言い訳も出来ないくらい全部退路を塞ぎやがって」
「え、あの」
「……何だかんだでずっと、俺はお前を覚えてた。年齢差なんて関係ない。……俺は多分、そう言って欲しかっただけなんだろうな」

 言い訳なんか出来なくていい。もう二度と、手放さない。離れていた数年間で、望という女はすっかり夏木の心に居着いてしまったのだから。

「……望」
「は、はい」
「泣くなよ」

 追いついたらしい想いが嬉しかったのと、初めて名前を呼ばれたことに、望の瞳の奥が熱くなった。


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