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11/08 パフィオペディルム 「気まぐれ」

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拍手SSの再掲です。

11/08 パフィオペディルム 「気まぐれ」
桜涙 仁科家(朱里視点)


 それは、朱里が家に戻ってしばらくした頃。母と一緒に夕飯の支度をしていた朱里の傍に、つい、と藍里が寄ってきた。

「朱里ちゃん、手伝う~」
「……え?」

 朱里の呟きだけではなく、母も包丁を動かす手を止めて、父も新聞をバサリと落とした。

「む。何でみんな、そんな驚くのー?」
「あなたが手伝うなんて言い出すからでしょ。明日は槍が降るかしら」

 藍里が台所に立つと怪我が付き物らしいと聞いたのは、この家に帰ってきてすぐの事。包丁を使わせれば、必ずといっていいほど大なり小なりの傷を作るらしい。なので藍里は、あまり母の手伝いをしなくなったと聞いていたのだが。

「降らないよっ! もー、お母さん酷い!」
「まぁ、ハンバーグの形を作るくらいなら怪我はしないわね」
「どーやったら怪我できるの!?」
「あなたの事だから、ボウルごとひっくり返しそうで」
「お母さん~っ!」

 ぷくっ、と可愛らしく頬を膨らませる藍里に、「はいはい、手伝うつもりならまずは手を洗いなさい」と母の小言が飛ぶ。
 かくして、朱里と藍里、二人でハンバーグの形を作り始めたまでは良かったのだが……。

「見てみて朱里ちゃん、星出来たよ!」
「……藍里、それ誰が食べるの?」
「朱里ちゃんだよ? あとも一個作って私とー、ハート型も作って、それはお父さんとお母さん!」

 さて、何だか暴走しはじめたこの妹をどうしよう? と考えていると。母の深いため息が聞こえた。

「……藍里、あなた高校一年よね?」
「そだよ?」
「何を子供みたいな事してるのよ」
「だって……朱里ちゃんとこんな風に作ること、なかったもん」

 子供の頃に出来なかったことはたくさんある。こんな風に食べ物の形で遊ぶことも出来なかった。
 だから藍里は、朱里にかつてあったであろうその時間を取り戻そうと、手伝いを申し出たのかもしれない。

「まぁいいわ、ちゃんと火が通ればいいんだし」
「やった! 朱里ちゃん、飛行機の形作って~」
「え、そんなのどうやって作るの?」

 藍里の気まぐれの中に、自分に対する思いやりと優しさを感じて、朱里は我知らず微笑んでいた。


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