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10/26 ツンベルギア 「黒い瞳」

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拍手SSの再掲です。

10/26 ツンベルギア 「黒い瞳」
桜涙 竜城×朱里


「こっちが英語のノートで、こっちが数学。まだ始まったばかりだから、追いつくのはすぐだと思うけど」
「ありがとう」
「で、こっちが……。……そうも見つめられてると、やりづらいんだけど」

 ノートに文字を書く竜城を、じっ、と朱里の瞳が見つめる。多少なりともうろたえる竜城に、朱里はきょとんと小首を傾げた。

「どうして?」
「どうしてって、そりゃ……」

 見つめられれば、誰だって……と答える前に、朱里が口を開いた。

「……竜城の瞳の色、綺麗だと思って」
「瞳の色?」

 朱里が座るベッドの向こう、窓に映る竜城の瞳の色はライトブラウンだ。

「こんな色、ありふれてるだろ」
「……でも、綺麗」

 そう言って、朱里は竜城の目の前で小さく笑う。

(朱里の方が……)

 氷のような冷たい色しか宿さなかった朱里の瞳は、ダークブラウン。一般的には黒瞳と呼ばれる色だ。光の加減によっては本当に黒に見えるその瞳を、竜城も真っすぐ見つめ返す。

「……な、なに……?」

 朱里の怪訝な怯えたような声にも反応せず、竜城は黒い瞳に映る自分の姿を見つける。

「た、たつき……?」

 氷のような鋭さも、冷たさもない。今はただ、動揺しか読み取れない。

「……ほらな、動揺するだろ?」

 してやったり、と竜城は口角をあげた。

「だ、だって竜城がそんな風に私を見ること、なかったから……っ」
「そんな風って?」
「……温かい、感じ。……私は、藍里じゃないのに……」

 朱里はずっと竜城と藍里を見ていた。だから、竜城が藍里に向ける瞳と同じ色を、朱里に向けるとは思わなかったのだ。

「……言ったろ、お前から逃げないってさ」

 その黒い瞳が竜城から離れていかない限り、向き合うと決めた。さすがにそんな決意までは、瞳の色からは読み取れなかったようだけれど。

「今までのこと、忘れろってのは都合が良すぎるから言わない。でも、もう俺が、以前(まえ)みたいな瞳でお前を見ることはないよ」

 憎しみはとうに消え失せた。恐怖は……まだ、少し残っているけれど。
 そう告げた竜城が見たのは、黒瞳を僅かに細めて微笑わらう、朱里の姿だった。


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