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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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LOVE SO LIFE 想いと不安と温もりと

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 2周年記念SS第2弾・『LOVE SO LIFE 松永×詩春』です。

 こちらはフリー配布と致しますので、お気に召した方はどうぞお持ち帰り下さい。
 ですが、著作権は放棄しておりませんので、転載される場合にはこのブログのSSである事を明記して頂ければと思います。

 特に報告の必要はありませんが、一言頂けると喜びます(笑)

 では、続きからどうぞ。

 ※注意 久しぶりに書いたので、二人が別人の可能性があります……。


「……寝ちゃったな」
「たくさんはしゃいでましたからね」

 うつぶせたまま眠る双子に、そっとタオルケットをかける。穏やかな寝顔を、政二の長い指先がぷにぷにと突いた。

「ん~っ」

 うるさそうに茜が頬を擦る様が微笑ましくて、詩春と政二は顔を見合わせて笑う。
 今日は、以前に見られなかったライオンを見に行って、その興奮たるや凄まじいものだったのだ。

「ははっ」
「二人とも起きちゃいますよ?」
「けど、適当なところで起こさないとな。夜眠れなくなりそうだし」
「そうですね」

 あまりにもすやすやと、気持ち良さそうに眠っているから、起こしてしまうのは何となく気が引けるけれど。しかしそうすると、夜中に政二が双子に起こされて、眠れなくなってしまうから。
 そっと双子の髪を撫でていると、ふと視線を感じた。視線を巡らせれば、隣にある優しい瞳に囚われる。片膝を立てて、そこに肘をつけ、顔を傾けている政二に。

「ま、松永さ……?」
「中村さんがいてくれて、良かった」
「え……」
「こいつら、ホント誰にも懐かなくて。ストレスだったんだろうな、いつも騒いでて……なのに今は、こんなに安心しきった顔で眠るから。……ありがとう」
「いいえっ、そんな、私こそ……っ」

 たくさんの思い出をもらった。二人の笑顔も、仕事では決して見せない政二の表情も。たくさん、たくさん────。

 本当ならきっと、出逢っていないはずの人だった。こうして傍にいて、会話を交わすなんて事もあるはずがなくて、ただテレビに出ている人という認識しかなかったはずの。
 その人が今、詩春を見ていて。優しい顔で笑ってくれて。ホッとすると同時に鼓動が速くなるのは、詩春が彼を好きだと自覚してしまったからだ。

 抱きしめられたあの時、自覚したこの想いは、告げないと決めた。けれどその代わりに傍にいるだけで、色んな想いが零れてしまいそうになる。
 例えば、何気なく手を差し出された時。例えば、顔を覗き込まれた時。
 詩春が今持つ不安や、彼を好きだという気持ちが、見透かされてしまいそうで。
 実際はそんな事、ないのは解っているのだけれど……。
 さりげなく俯いて、政二の視線から逃れた。

「覚えてるといいな……こんな風に、いつも傍にいてくれたこと」
「……そうだと、いいですね」

 あとどれくらい、共に過ごせる時間が残っているのだろう。押し込めていた不安が、またむくむくと顔を出す。
 かつて母と住んでいたアパートは既に無い。学校も、あと一年すれば卒業だし、梨生達ともきっと離れることになる。……いつかは双子と離れなければならない日も来て、そして、政二とも────。

「中村さん?」
「……ご、ごめんなさい……私、やっぱり」

 離れたくない。双子とも、政二とも。家族だといってくれた人達を、たくさんの思い出をくれた人達を、手放したくない。
 そんな想いが溢れ出て、涙に代わる。

「言っていいよ。……分けてくださいって、言ったよね」

 不安も、不満なことも分けてくれと彼は言ってくれた。その言葉に甘えたのは、あの日の一度きり。
 結った髪型を崩さないようにか、ゆっくりと彼の手が詩春の頭を撫でた。

「……俺も、こいつらがいなくなったらやっぱり、淋しいと思うし」
「わ、解って、るんです……二人の為には何が一番いいのか……解って、いても……」

 頭では解っていても、心はついていってくれない。無理矢理納得させようとしても、感情がそれを邪魔して。

「す、すみませ……、こっち見ないでください……」

 早く泣き止まなくては。いつまでも泣いていては、彼を困らせてしまう。泣き顔なんて今更なのは解っていたけれど、詩春は政二に背中を向けた。

「ありがとう」
「松永さん……」
「こいつらを愛してくれて、ありがとう」

 片腕が、背後から回されていることに気づいたのは、その声が耳に届いて、大きな手で震える肩を撫でられてからだった。
 そしてその言葉の優しさに、手の温もりに、詩春はまた静かに涙を零した。

「しはるたん、あおの!」
「うわっ!?」

 いつの間に目を覚ましたのか、葵が政二の膝をパシパシと叩いていた。

「あ、葵、お昼寝は終わりか?」
「しはるたんはあおくんとけっこんするの! ぎゅーするのはあおくんなの!」
「結婚、っておい、中村さんといくつ離れてると……」
「しはるたんはあおくんのなのー!」
「わ、解った解ったから、よじ登るな、首締まる……っ」
「葵くんっ、松永さん苦しそうだからやめてあげて!?」

 慌てて政二の背中に周り、詩春が葵を引き離して抱きしめると、葵はぐすぐす言いながら、また眠りに引き込まれていった。

「……寝ぼけてたんでしょうか……?」
「……かな……?」

 詩春の腕の中で、穏やかに眠る葵を二人で覗き込んで、また顔を見合わせて笑った瞬間、先程まで抱きしめ、抱きしめられていたことを思い出し、二人で顔を赤くしてしまった。

「あ、あーそうだ、携帯どこやったかな俺」
「あ、確か車の鍵と一緒に、玄関に置かれてたような……気が……」
「と、取って来る」
「は、はい」

 二人の動揺が収まるのには、かなりの時間を要するのは確実だった。


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