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10/12 吾亦紅 「物思い」

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拍手SSの再掲です。

10/12 吾亦紅 「物思い」
黄昏色の詠使い ネイト×クルーエル


「はぁ……」

 我知らず吐いた溜息にクルーエル自身が驚いた。

「どうしたんですか? クルーエルさん。今日は溜息ばかりですけど……何か新しい触媒カタリストでも考えてるんですか?」

 隣で一生懸命、夜色名詠の触媒カタリストを調合しているネイトに訊ねられて、クルーエルは慌てて謝った。

「ううん、違うの。ごめんねネイト、一緒に考えるって言ったのにね」
「それはいいんですけど……何か悩み事ですか?」
「そんなんじゃ、ないの。……あの子の事、思い出して」

 あの子? とネイトが首を傾げる。あれからほんの少しだけ目線が高くなったネイトに、クルーエルは淋しげに笑った。

「アマリリス……。私の、妹の事」

 クルーエルの半身でもあり、空白名詠の真精であるアマリリスとの別れを思い出す。
 手元にあった赤い絵の具を指先に付けて、名詠したのは緋色の花弁を持つ優雅な花。

「あの時の詠、……聞こえたかなって」

 たった一つ、アマリリスが最後に望んだ始まりの詠。閉じた世界の中に、自分達の詠は届いたのだろうか。
 クルーエルの身代わりになるかのように、一人、閉じられた世界に残った少女を想う。

「……きっと、届いてますよ」
「ネイト……」
「……もし、届いてなかったら……。何度でも歌えば良いんです。僕、ずっとクルーエルさんの傍にいますから!」
「ずっと?」
「ずっとです! あ……」

 途端に、ネイトの顔が赤くなる。つられて自分の頬も朱に染まるのが解ったけれど、少女はふわりと微笑んだ。

「……うん、そうだね」

 何度でも歌おう。閉じた世界の中のいる、たった一人の妹に、届くように。


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