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10/09 トリトマ 「恋する辛さ」

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10/09 トリトマ 「恋する辛さ」
執事様のお気に入り 征貴×真琴 ※コミック11巻 スケートの時の二人


『一人になんかしません』

 その言葉通り、今でも彼は真琴を見ていてくれている。

*****

 学校内に設置されたスケートリンク。ずっとやってみたいと思っていた氷の上に足を乗せ。ぐらりと傾いだ体を支えてくれたのは征貴だった。
 そして今、真琴は征貴にスケートのコツを教えてもらっていた。

「ゆっくりでいいんです。体重を意識して」

 支えるために重ねられた手を、きゅ、と握ってみる。初めて履いたスケート靴のお陰で、足元が不安定なのもあるけれど。

「……征貴?」
「はい」
「どこに、いたのですか? 私がスケート靴を履いていた時には、まだ」
「……真琴様から目を離すなと」
「……そう、ですか」

 そうだ。彼は、監視役なのだ。幼なじみだったあの頃の柔らかさなど、とうに消えてしまっている。
 事あるごとに、征貴と自分の関係を突き付けられる。正式に言うならば、まだ征貴は楠家の執事ではないのに……。
 彼の意識の中ではきっと、真琴はどこまでも主家の人間でしかないのだろう。

「仙堂くーん、楠さーんっ。一緒に練習しても良いかな?」
「……構いませんが。神澤がこちらの邪魔にならなければ」

 淡々と答える征貴に、伯王が苦い顔をしたことに気付いて、真琴は小さく笑う。

 神澤家と言えば、楠と並ぶ名家。その嫡男である彼を「ただの同級生の男子」と言える良のように、真琴も征貴をそう呼べたなら……こんな想いはせずに済んだかも知れないと思う。だけど、征貴が仙堂家の人間で、真琴が楠家の人間だったからこそ出会えたのだ。

 ……叶わないと、知っている。この想いを告げることは許されない。
 楠家の人間として。ただの「真琴」という人間として。二つの想いがせめぎ合う。
 そして、彼が自分を助けてくれたり、意思を尊重してくれたりする度に沸き上がる想いは、いつも彼が去った後に冷たく突き刺さる。

「……どうかされましたか、真琴様」
「……いいえ。征貴はいつスケートを覚えたのかと思って」
「子供の頃に、少し。では、手を離しますよ」
「は、はい……」

 危なげながらもリンクの上に立ち、離れた場所で待つ征貴を目指してゆっくりと滑っていく。
 転ばずに辿り着けた時に見上げた彼の顔は相変わらずの無表情だったけれど、少しだけ瞳が和やかに見えたような気がした。

執事様のお気に入り 目次

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