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10/06 藪蘭 「隠された心」

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拍手SSの再掲です。

10/06 藪蘭 「隠された心」
桜涙 朱里

 きっとこれだけは、暴いてはならない心だった。子供の頃、朱里の能力で読んでしまった、京佳の心。

(私で、罪滅ぼしをしているの……?)

 京佳と知佳の母、つまり朱里にとっての祖母は、朱里と同じ力を持っていた。そして、それが原因で……京佳と祖母の間には僅かな溝が出来た。
 傷つけた過去は消えない。いくら祖母が許してくれていたとしても。
 だから京佳は、朱里に優しくしてくれるのか。気遣って、くれるのだろうか。

 ツキリ、と胸が微かに痛む。いつもの発作とは違う、心臓ではなく、心の痛み。
 傷つく必要なんか無いのに。こんな化け物に、例え罪滅ぼしだとしても優しくしてくれることだけで充分なのに。

(それでも、いい……)

 もうすぐ、朱里の命は尽きる。償いだとしても、罪滅ぼしだとしても、京佳が朱里を心配する心に嘘はないから。
 ……優しさと、温もりをくれた京佳に返せるものを、今の朱里は持っていないから。

 利用されていたって構わない────。

 最後の最後、自身が消える事がもしかしたら、唯一京佳に返せる物かも知れないと、思う。
 何故なら、朱里が生きている限り、この能力がある限り、京佳は祖母を思い出すだろう。本来ならば、幼い頃の記憶なんて時と共に風化していくはずなのに、それでも彼女の中に残っているのは朱里がいるからではないのか。この能力を、目の当たりにしているせいではないのだろうか。

 疎ましい、能力。藍里も、竜城も、両親も、朱里の周りにいる人全てを傷付ける能力。
 どうしてこんな能力があるのだろう。人には過ぎた能力なんて、要らなかったのに。
 ただ、普通に……ただの女の子として過ごせたなら、どんなに……。

 そこまで考えて、朱里は緩やかに頭を振った。

(平気……。この能力が消えるなら、『死』は怖くないから)

 それが例え自己満足であっても、普通の少女としての人生を、自分の半身に与える為に。
 決して零れ落ちないように、心の奥の本心に気付かぬ振りをして。
 朱里は自分の想いにきつく蓋をした。

桜涙 目次

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