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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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図書館戦争 買い物デート

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拍手用のSSを書いていたら長くなってしまったので。
堂上と郁の結婚祝いを買いに来た手塚と柴崎。

「何がいいと思う?」

 ウィンドウに並べられた様々な雑貨を前に、柴崎は身を屈ませて、隣に立つ男を見上げた。

「食器とかでいいんじゃないのか? 定番はそんなものだろ。あとは調理器具とか」
「あの笠原が料理なんてするわけないでしょ」
「笠原はな。堂上二正は作るみたいだけど」
「……華奢な食器なんて選んだら、破壊されそうな気がするんだけど? 戦闘職種夫婦だし」
「……笠原と堂上二正を一緒にするな」

 手塚の反応に、柴崎はふふっ、と喉の奥で笑う。

(教官大好きっ子なのは相変わらずなのねー)

 心の中でそう付け加え、だって、と続ける。

あの・・笠原よ?」

 何かの拍子で力を入れたら、バリン、と食器を割ってしまいそうな郁だ。彼女は感情がすぐに表に出るし、加えて行動にも直結するのだから。

「堂上二正は、逆に大切に扱うだろ」
「……そう、ね」

 話の対象は華奢な食器のはずだったのに、柴崎の脳裏には頭を撫でられる郁と、愛おしげに彼女を見つめる堂上の姿が浮かび上がった。
 見ていると羨ましくなるほど、郁は堂上に守られている。本当に、大切な大切なお姫様のように。
 そんな二人に、友人として、部下として、結婚祝いは何がいいか。たまたま公休日が重なった今日、手塚と柴崎は少し離れた街まで足を運んでいるのだった。
 めぼしいものがなくて、二人は隣の店へと視線を移す。

「笠原が好きなのって何だ?」
「可愛いものとか好きよ、結構。何しろ乙女回路だし~」
「素で王子様とか言える奴だしな」
「そ。……まさか本当に王子様と結婚するなんてねー」

 お姫様の前にしか、王子様は現れない。以前にもそう思った事を思い出して、わずかに俯く。
 郁が結婚することは嬉しい。だけど同時に、彼女があの部屋に帰ってこなくなる事が、淋しい────。
 淋しさを堪えるように、そっと両手を握り締める。と、不意に手首を掴まれた。

「……手塚?」
「虫よけ。……お前視線集めすぎ。声かける隙窺ってるぞ、周りの奴ら」

 自分に向けられている視線に、今更ながらに柴崎は気付いた。……不覚だ。こんな事、ずっとなかったのに。

「っ、あたしだけが原因じゃないわよ、それ」
「俺じゃない。……隙だらけなんだよ、今日のお前」

 そんなことないわ、と言いたかったけれど、若干気を緩めていたのは確かだ。いつだって他人の視線には敏感でいたはずだったのに。
 隣を歩く男の横顔を盗み見る。
 自分でも、気付かぬ内に────、手塚の隣にいる時は、ほぼ素に近い自分がいるようだ。
 いつの間にか開いた指先を強く握る手に、引き寄せられるように歩きだす。

「……あんたが人の顔色読めるようになるなんてね」
「これだけ付き合えば嫌でも解る」

 それは、柴崎だから解ると言われているのだろうか。それとも────。
 無意識に、考えたことにブレーキをかける。それはもう、柴崎にとっては慣れてしまったことだ。
 柴崎に向けられていた数々の視線が外れていく。ほ、と小さく安堵の息をついて、視線を前に戻した柴崎の目についたのは、鳩が飛び出る掛け時計。

「ねえ、時計なんてどうかしら」
「時計?」
「そうそう邪魔にはならないだろうし、官舎なら置き時計の方がいいかもしれないわ、掛け時計より。いざという時武器になるし」

 柴崎の言葉に、手塚が面食らった顔になる。

「武器って何のだよ!?」
「夫婦ゲンカのよ」
「って、夫婦ゲンカに時計投げるか普通!?」
「夫婦ゲンカは否定しないのね、あんたも」
「っ、それは……」

 普段の二人を見ていればそれも当然だろう。相も変わらず小さなケンカ(端から見ればただのじゃれ合い)は絶えないのだから。

 新たな時を二人で過ごす。そういう意味を込めて、結婚祝いに贈られることも多い時計。とりあえず見てみようと店内に入り、……ここからが問題だった。
 郁の好みに合わせようとすると、どうにもファンシーなものになる。国民的アニメのキャラクターが傘を持っているものだったり、ももイルカが描かれているものだったり。対して堂上の好みに合わせようとすると、何も描かれていないシンプルなものになる。

「悩みどころねー」
「二人に共通点なんかないしな」
「あら、たくさんあるじゃない。行動はそっくりだし」
「いや、好みの共通点」
「好み、ねー。……あ」
「ん?」
「……カミツレ。二人でハーブティー飲みに行ったって。花時計とかないかしら」

 カミツレが描かれているのはそうはないだろうが、マーガレットや鈴蘭、白く清楚な花が描かれているのはあるかもしれない。
 かくして、白い花が描かれた置き時計は、案外すんなり見つかった。縦長の木枠の中に、銀色の針。下部に草原をイメージしたであろう緑と、少し大きめに描かれたマーガレット。

「これにしない?」
「これにするか?」

 二人同時に相手への確認の言葉。小さく吹き出してくすくすと笑う柴崎とは反対に、手塚は「笑うなっ」と小声で拗ねた。
 会計は柴崎に任せられ、同時に繋いでいた手も離れた。プレゼント用に包装を頼んでいる間に、手塚は他の時計を見て回っている。

「お待たせいたしました」
「ありがとうございます」

 笑顔で差し出されたプレゼントを、柴崎も笑顔で受け取り、手塚を探す。

「あ、いた。手塚、終わったわよ……って、何見て」

 背の高い手塚が見下ろす視線の先を辿る。それに気付いた瞬間、

「あははははっ」

 柴崎は大笑いした。先程の店員が、びっくりした顔で見つめているのにも気付かずに。

「……く、クマ……っ! あははっ、ウケ狙いでこっちにすれば良かったー!」
「たまたま目についただけだっ」

 その時計には、ツキノワグマの親子が描かれていた。もちろん可愛らしくデフォルメされているが、寄り添いあって眠る姿はまるで酔った郁に肩を貸している堂上に見えて。

「あはははっ、やだもー、お腹痛い……っ」
「いつまで笑ってんだ、出るぞ!」

 うやむやのうちに、プレゼントは手塚の手に渡り、空いた手が柴崎の左手を捉え、引きずられるように店を出た。

「あぁ、笑った」
「笑いすぎだ。店員も驚いてた」
「だって、あのクマ達、あの二人にそっくりだったんだもの。あんただってそう思ったでしょー?」
「俺はっ……思ってない」
「正直に言いなさいよ~、あたししか聞いてないわよ?」
「言うかっ」

 尊敬する堂上を重ねて見ていたとは決して言わない手塚を、柴崎は延々とからかっていた。


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Comment

大うけ
  • posted by
  • URL
  • 2014.08/24 14:14分
  • [Edit]

笑って頂けたようで良かったです(笑)

  • posted by 琳架
  • URL
  • 2014.08/24 16:28分
  • [Edit]

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