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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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虹霞~僕らの命の音~ 春の雷が育てた命

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思いついちゃったのでまたまた勝手に書かせて頂きました~。


 閉めた窓を、強い雨音が叩く。ピカッ、と光る一瞬の稲妻。その後に聞こえる、ゴロゴロという重い音。時折、ドン! や、ピシャーン! と聞こえるのは、雷が落ちた音だろう。
 その音が近くなった今、六耀のベッドには毛布に包まり耳を塞ぎながらわーわーと叫ぶ春雷の姿。

「やだやだ、リク! 助けて~!」

 助けてと言われても。雷は自然現象だから、六耀にも、そばで呑気に魔法書を読んでいる時雨にもどうにも出来ない。魔法で雷を呼び出すことは出来るけれど。

(……嫌な事思い出した)

 いつだか、異国の魔法の対決をしていた時、時雨にしてやられたのが雷の魔法だったのだ。

「? 何だよ、六耀?」

 睨んだ視線に気づいた時雨が、魔法書から顔を上げる。今更ながら負けてしまったことが悔しくて「別に」と素っ気なく返す。

「雷が怖いなら、抱きしめててやろうか?」

 つい数日前、仕返しと称して抱きしめられた事を思い出す。じわり、と赤くなる頬を隠すようにそっぽを向いて、唇を尖らせた。

「大きなお世話。……っていうかハルって、雷ダメだっけ?」
「おっきい音が嫌いなのっ! きゃあああっ」

 話している間にも、雷の音はどんどん大きくなっていく。春雷の叫びを聞いた時雨は、くくっ、と喉の奥で笑った。

「雷より春雷の叫び声の方がでかいぞ?」
「確かにね」
「ううっ……。リクもトキも、何で平気なのー!」
「だって、滅多に落ちないじゃないか、雷なんて」
「そーそー、大体が高いところに落ちるし。あ、でもこの城も結構高いから落ちるかもな?」
「そういえばそうだね?」

 毛布に包まっている春雷は気づきもしないが、時雨も六耀も、彼女をからかって楽しんでいるだけだ。実際、この城に雷が落ちる可能性がないとは言わないが、滅多にない事なのは確かなのだから。

「名前に雷の字が入ってるのに怖がるなよ」
「それとこれとは別だもん! もーいやぁっ!」

 いたずらに輝く時雨の瞳が、ふと窓の外に向けられる。

「時雨?」
「……雷も、悪いことばっかじゃないんだけどな」
「悪いことばっかりだよ~っ」
「……雷が鳴ると、植物の成長が早いって、何かの本で読んだことがあるけど」
「お。六耀正解。それだけじゃないけどな」

 雷は雨も一緒に運んで来る。植物が成長するためには水は必要不可欠だ。
 極端に言えば、雷は命を育む。……それは、春雷の名にぴったりのように思えた。

「昔さ、雷が鳴ったら金属を身につけて外に出ろって月花に言われたんだ」
「……それって逆じゃないの?」

 六耀が妖華に言われたのは、金属を身につけるな、だった。それなのに全く逆の事を言われて、六耀は戸惑った。

「そう、逆だろ普通? なのに月花は、『アタシは今まで雷が落ちたことなんかなかったもの!』なんて根拠のない事いいやがって」

 胸を張って威張る月花の姿が容易に想像できて、六耀は苦笑した。

「しかも本気で金属身につけさせられて、外に出された事も一度や二度じゃないし……って。……オイ、何してるんだ六耀」

 話の途中で席を立ち、確かこの辺に……と引き出しを漁っていると、不穏な時雨の声。

「え、確かこの辺に、不知火から貰った金の腕輪が……あ、あった」
「で、それをどうする気なんだ?」
「そりゃもちろん」

 にっこり、と笑った六耀の言葉の後に、若干雷の音が遠ざかったおかげで、もそりと毛布から顔を出した春雷が笑って告げた。

「トキの腕に嵌めて実験するんだよねっ」
「馬鹿言うなぁーっ!! つーか人を実験台にするな!」
「いいじゃない、雷の一つや二つ落ちたぐらいじゃ死なないって」
「全身火傷すりゃ可能性はあるだろっ!」
「へーきだよぉ、トキなら! だってヨーカンとかゲッカちゃんにやられてもピンピンしてるし!」
「それとこれとはっ……! ち、近寄るな二人とも!」

 元々壁際に座っていた時雨を、六耀と春雷は徐々に追い詰めていく。六耀は片手に金の腕輪をちらつかせ、春雷はいつの間にか毛布を剥ぎ取って。

「……に、逃げるが勝ち!」
「あっ! トキ逃げたー! 待てぇ~っ!!」

 雷の恐怖はどこへやら。喜々として部屋から逃げた時雨を追い掛けていく春雷の姿を、六耀は苦笑しながら見送った。

(……雷は命を育む。か……)

 子供の頃の六耀を育てていたのは、紛れも無く春雷の存在だ。一度は別れ、再会し……妖華や時雨も傍にいる今でも、彼女の存在だけはまた別格で。
 開けっ放しの扉に視線を移す。……時雨を追い掛けて行った春雷。

(ハルがいなかったら……子供の時に僕の命は尽きていたかもしれないね)

 ありがとう、と言葉にはせずに、六耀はただ彼女を────正確には開け放たれたままの扉を────見つめた。



※後書き 兼 朱音さんへ私信
 実はこれは、朱音さんの1周年記念にする予定のSSでした。……が、どうにも気に入らなくて、書き直しました(笑)
 春の雷。これがぽん、と浮かんで出来たお話ですが……本物の春雷さんは、雷でも全然平気そうな気がします。桁違いの雷だったと言う事にしておいてくださいっ!(←無理矢理 笑)

 朱音さまのみお持ち帰り可です。
 もしお気に召しましたらどうぞ。

 朱音さんのサイトはこちら → 「空想 i
 
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Comment

癒されました!

琳架さん、こんにちは! 昨夜、脅迫文に近い予告文を頂いてからそわそわしっぱなしだったんですっ♪ あ、もちろん脅迫されて怖い方のそわそわじゃなくて、楽しみな方のそわそわですので(笑)
雷が鳴り響く日を切り取った一場面で、どうしてこんなに可愛くてほのぼのしたお話を書けるんですか!? 虹霞の生みの親は私ですが、育ての親として虹霞を琳架さんに譲りたくなりました……!

六耀のベッドに避難して来た春雷が可愛くて! あ、実際の春雷も雷は嫌いだと思いますよ^^
そして実は六耀も雷とか台風時の風などの大きい音が苦手です。自分の魔法で呼び出す分は大丈夫なんですけどね(笑) なのでこの時、怖がる春雷と余裕な時雨が傍にいたから、必死に強がっているのかな~と想像しちゃいますv
時雨の「抱き締めててやろうか?」発言、何度読み返してもにやけられるんですよっ/// 私が書く時雨なら冗談でも言えませんっ、へたれですので!(笑)
雷は植物の成長を早めるんですか~。琳架さんは花言葉もたくさんご存知ですし、いつも他にも色々ご存じですごいなぁと思ってます!
月花が時雨に金属を身に着けて外に出ろと言ったのは、雷に対する抵抗力を身に着けるためだったんでしょうかね?^^ と言うか、六耀と春雷の「死なないって」と「ピンピンしてるし!」に笑いました! いやいや、いくら時雨でも雷に打たれりゃ無理だろ! って(笑) でも女性二人にいじめられる時雨が可愛くてv
六耀にとっての春雷と言うのが私自身は上手く説明出来ないんですが、琳架さんはいつも六耀の心境を汲んで下さっていますよね。感動で、胸がいっぱいになるんですよ♪

こちらのお話も宝物として飾らせて下さい! いつも本当にありがとうございますっv
それでは、この辺で失礼します。
  • posted by 朱音
  • URL
  • 2011.09/18 16:19分
  • [Edit]

ほのぼのでしたか?

朱音さん、こんばんは! 癒されましたか? 良かったです~。
脅迫する内容が思い浮かばなかったんですけど(笑)ある意味そわそわして頂けて嬉しいです♪(←え)
か、可愛いですか……? ほのぼのな自覚はちょっとありましたが、可愛いとは……っ。もし可愛いと感じたのであればそれは、春雷さんの存在のおかげですよ!
って、ダメですっ、育ての親も朱音さんですよっ。私じゃあんな物語は紡げません!

必死に強がってるとしたら可愛いですよね、六耀さん。時雨さんはちょっと強気だけど最後はヘタレにしてみました(笑)やっぱり時雨さんはヘタレじゃないと!
雷の話も、花言葉も、大体が本からの受け売りなんですよ。私の知識は大体がマンガや本からだと言っても過言ではないかも知れません(笑)あとは図書館ですね。ここ数年、図書館には毎週のように行っていますから。
え、だって時雨さん、いつも苛められててもしぶとく生き残ってるじゃないですか。多少の雷ぐらいは平気かな、と。

さすがに書き過ぎなような気がしますので、しばらく自粛します(笑)ネタもない事ですし。でも、またいつかネタが思いついたら書いてるかも知れませんが(汗)
いつも飾って頂いて、こちらこそありがとうございます!
それでは、コメントありがとうございました。
  • posted by 琳架
  • URL
  • 2011.09/18 20:16分
  • [Edit]

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