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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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LOVE SO LIFE とある休日

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副題 『お昼寝とおやつとたこ』 そのまんまです……。



 双子が昼寝を始めたすぐ後、詩春はキッチンで何やら作り始めた。

「中村さん? 二人とも寝てるんだから、少し休んで……何作ってるんですか?」
「二人のおやつです! 松永さんの分もありますよ!」
「え、俺も?」

 政二の問いには何も答えず、詩春はただにこにこと何かを作り出す。このままここで見ていても邪魔になるだけだと思った政二は、リビングに戻ってパソコンを立ち上げ、調べ物を始めた。
 アナウンサーに必要な事の一つは、その知識を深める事。時代の最先端を行くには、昔の出来事との比較も出来なければならない。社会人だとは言っても、まだまだ学ぶべき事はあるのだと政二はいつもそう思っている。
 真剣に読み進めていく内に夢中になって、気付けば既に一時間が経っていた。

「あれ、中村さんは……」

 いくらなんでも、一時間もキッチンで作り続けているわけではないだろう。不思議に思ってキッチンを覗いてみるけれど、詩春の姿は何処にもない。買い物に行くならば、政二に一声掛けていくだろうし、と言う事は、家の中にいるはずで。ふと視線を移せば、寝室の引き戸が微かに開いている事に気付いた。

「中村さん……?」

 双子を起こさないように、小さく声を掛けながら引き戸を開ける。そこには……大の字になって眠る茜と、丸まって眠る葵、そして……その二人を包むように詩春が眠っていた。

(疲れてたんだな……)

 疲れないはずがない。政二だって、この双子と一緒に一日遊んでいれば、絶対に疲れる。
 政二の場合は、詩春とは双子の扱いが違う故の疲れでもあるけれど。
 彼女はいつも笑っている。双子と一緒にいるのは大変だろうに、それでも、いつも笑っていて、茜と葵を笑顔にしてくれる。
 小さく微笑んで、政二は余っていたタオルケットをそっと詩春の体に掛けて、寝室を後にした。

 そして、それから30分程経ったあと。

「せーたんっ」
「あっ、茜ちゃん!」
「げほっ」

 ドンッ、と背後から突進されて、政二はその衝撃に思わず咽せた。

「ああっ、松永さん大丈夫ですかっ!」

 突進してきたのは茜で、葵はまだ眠そうに目をこすって、詩春の腕の中だった。

「けほっ、うん、大丈夫……。ったく茜、突進するのはやめなさいって言っただろー。途中で転んだらどーする」
「とっしん……?」

 きょと、と首を傾げる茜に、詩春がしゃがんで説明してくれた。

「今みたいに、元気に走りだしたら危ないよー? それにね?」

 葵を腕の中から降ろして、茜の頭を撫でながら。

「松永さん、ケホケホしてるよ? 茜ちゃんがびっくりさせちゃったから、痛い痛いしてる」
「あ、いや、俺は……」

 大丈夫、と告げようとした政二に、茜が泣きそうに顔をくしゃくしゃにしながら「せーたんいたい? いたい?」と聞いてくる。小さな手が、政二の体を撫でてくる。

「大丈夫だよ。もう痛くないから」
「……めんね~……」

 ごめんね、と言えない幼子を抱き上げて、政二はその頭を撫でる。

「中村さん、ありがとう」

 何のお礼を言ったのか解ったらしい詩春は、笑顔のまま首を横に振った。
 時には人の痛みを伝える事も大切なのだ。茜も葵も、人の痛みには敏感な所があるけれど、それでも「家族」には遠慮がない時がある。

「ごめんなさい、出過ぎた真似かなって思ったんですけど……」
「子供に対しての経験は、俺より中村さんの方が上だから。多分それでいいんだと思うよ」

 大人な対応ならそこそこ出来るけれど、子供への対応の仕方は誰に教えてもらうものでもないから、詩春がベビーシッターを引き受けてくれるまで、政二は四苦八苦していたのだ。

「……ありがとうございます。それに、タオルケットも……二人の寝顔見てたら、ついうとうとしちゃって」
「ああ、それ解る。こいつらの平和そうな顔見てると確かに眠くなるよね。少しは眠れた?」
「あ、はい」
「一日中こいつらの相手してたら疲れるのも道理だから、適度に休んで。無理して中村さんに倒れられたら困る」

 双子の面倒を見るのが自分しかいなくなると言う理由だけではなく。
 もし詩春が倒れたりしたら……きっと自分は落ち着かないだろう。

「大丈夫です! 体力には自信ありますから!」

 ぐっ、と両手に力を入れて笑って見せた詩春に、政二もほっとした笑顔を返した。

「しはるたん、おやつー……」
「あ、そうだね。おやつ食べようか」
「そう言えば、さっき作ってたのは何?」

 そうして目の前に差し出されたのは、先日、詩春の学校の文化祭で食べ損なった、大学芋のバニラアイス添えだった。

「あの時、松永さんに被り物して頂いてたから……」

 確かに、パンダやトラの被り物をさせられるとは思わなかった。そこまで有名だと自覚がない政二は、別段普段通りでいても大丈夫だと思っていたのだが。

「俺、ただの会社員なのにね」

 一介のアナウンサー、ただそれだけなのに、何故か周りは騒ぐ。

「松永さんが、かっこいいからだと思います……」
「……え?」

 今、彼女はなんと言った? 思わずじっと見つめ返すと、詩春の顔がだんだん赤くなっていく。

「あ、いえ、あのっ……」

 慌てる彼女につられるように、政二の顔も赤くなっていく。それを見た双子は声を揃えて、

「たこさん?」

 と首を傾げた。

「と、とにかく頂きます」
「あっ、はいどうぞっ!」

 顔の赤さを誤魔化すように、政二も詩春もバニラアイスに手を着け始めた。


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