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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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虹霞~僕らの命の音~ 異国の魔法

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 朱音さんから頂いたリクエスト、『虹霞~僕らの命の音~ で、魔法を唱える二人』です。
 最初は大喧嘩だったんですけど、その後変更されて魔法対決になっちゃいました。
 ちょっと、二人がいつもと違うかもです。ごめんなさい~。
 では、続きからどうぞ。


「無数の矢となりて敵を討て!」
「敵じゃないだろ俺はっ! っ、我を守る盾となれ!」

 六耀の手から放たれたのは、矢を象った無数の炎。それが時雨めがけて飛んで行き、けれど彼の服を焦がすことさえなく時雨が展開した水の防御壁に阻まれた。あっという間に炎は消え、時雨を守っていた壁も同時に消え去る。

「おっまえ、本気でやってるだろ……!」
「本気でやらなかったら実験にならないじゃないか。どっちが効率いいか、なんてさ」
「そりゃま、そーだけど」
「でしょ。ほらっ、次行くよ!」
「だああっ、少しぐらい休ませろーっ!」

 この世界では通常、魔法を使うのに呪文は必要としない。念じるだけでイメージを構築し、そのまま放つ。
 それなのに、どうして今、六耀と時雨が呪文を唱えながら魔法対決をしているかというと……時は一週間前に遡る。




「妖華? これは?」

 六耀が妖華の部屋を訪れた時に、見つけた一冊の本。今まで見た事のないそれを手にとって訊ねれば、妖華は「ああ」と溜息に似た声を漏らした。

「異国の魔法書を翻訳したものだよ」
「へえ……。えぇっと? 魔法構築を言葉にすることにより、イメージを固める……? 念じるのとどう違うのさ」
「要するに自己暗示みたいなものらしい。……そうだ。どうせなら時雨くんと対決でもしてみたらどうかな?」
「なっ、何で時雨と……っ!」
「これを我が読んだ時は、誰も相手になってくれなかったから、どっちが効率がいいのか解らないんだ。ふむ、そうしようそうしよう、月花に許可を取ってこよう今すぐに」
「えっ、ちょっ、妖華!?」

 飽くなき研究心を持つ魔術師・妖華が決めた事に逆らえるはずもなく、六耀はガクリと肩を落としたのだった。
 そして、その日から一週間、六耀と時雨はその本を読み、理解する事を義務づけられ、大方論理を把握し、練習を重ね、今日は試験的な意味での魔法対決と相成ったのだった。

「鋭き刃となれ!」
「ちっ、風を遮る壁となれっ!」

 六耀が放ったかまいたちの魔法は、時雨が作り出した土壁によって阻まれる。ザクザクッと風の刃が土壁に突き刺さり、その音が止んだ頃、ぼろぼろと形を無くして砂に還っていく。

「時雨! 何で攻撃して来ないのさ!」

 これは魔法対決なのだ。だからこそ本気でやらなければならないのに、時雨は一向に六耀に向けて攻撃魔法を放っては来ない。そして、六耀が放った攻撃魔法は尽く時雨の展開する防御魔法に阻まれてしまう。
 何だか、時雨よりも自分が格下だと思われているようで、とても苛立った。

「攻撃する隙のない奴がよく言うよ……っ!」

 立て続けに攻撃魔法を放っていたのは確かだけれど、攻撃を攻撃で相殺する事だって出来るはずなのだ、時雨ならば。

「と言うか、万一でもお前に怪我させらんないだろーがっ……」

 時雨にしてみれば、六耀に怪我でもさせてしまったら妖華だけでなく、月花や不知火からの報復の方が怖い。この魔法対決は妖華と月花の許可の元とは言え、六耀を溺愛している彼らがどんな反応をするやら……想像したくもない。
 が、防御魔法ばかりでは実験にもならないのも確かだ。ならば、と片腕をまっすぐ上に伸ばして、掌を空に向けた。

(? 何の呪文?)

 時雨の行動が読めなくて、六耀は攻撃の手を休めて彼を見つめる。
 この実験で、一つだけ解ったことがある。呪文を唱えると言うことは、相手にこちらの攻撃が悟られることもあるのだと。確かに集中力は上がるかも知れないが、やはり自分には念じて魔法を発動する方が性に合っている。
 などと考えている内に、徐々に時雨の掌に青白い光が集まっていく。

「天の光、地に落ちよ!」
「雷撃!? ちょっ、それ反則……!」

 慌てて防御魔法を発動させる。何でもいい、と自分の周りに無意識に張り巡らせたのは、水の防御壁だった。

「バカ、六耀っ!」
「え?」
「っ、光を遮る壁となれ!」

 何故バカと言われたのか、何故時雨が防御の呪文を唱えたのか、解ったのは体に衝撃が来てからだった。




「六耀っ!」

 時雨が放った雷撃魔法に対して、六耀は何を考えたのか水の防御壁を展開した。が、雷と水は相性が悪すぎる。下手をすれば感電死だ。だから時雨は、六耀が張った水の防御壁を囲むように、大地の防御壁を張り巡らせた。
 けれど、衝撃自体は凄まじかったはずだ。六耀の魔法力ならば防げると思ったけれど、判断が間違っていたのでは防ぎきれるはずがない。

「六耀!」

 地面が焼け焦げた真ん中に、六耀が仰向けに倒れている。慌てて駆け寄り、その体を抱き起こした。

「六耀? 大丈夫か?」

 ぺちぺちと、頬を軽く叩いてみる。微かに動いた唇が、とりあえず無事なことを知らせてくれて、時雨は大げさなほど胸を撫で下ろした。

「……良かった……。よっ、と」

 華奢な体を抱き上げて、とりあえず日陰へと移動する。もしも雷の光を目の当たりにしてしまっていたら、太陽の光さえ眩しく感じてしまうと思ったから。
 いつだったか、泣いていた六耀を追いつめた木の幹に、軽い体を抱えたまま座り込む。
 片膝を立てて、そこに片腕をのせて。横抱きにした彼女を寄りかからせて、もう片手に水を喚ぶ。
 水がある程度掌に溜まった後、六耀の薄く開いた唇に押し当てて流し込む。こくん、と嚥下する音が聞こえて、時雨はさてどうしたものかと悩み始めた。
 気絶しているなら無理に起こすのも忍びない。だが、あの判断は間違っていたことを告げなければならないし、と思っていると、「時雨……?」と小さな声が聞こえた。

「お。六耀、起きたか。目は? 光で灼かれてないか?」
「……ちょっと、変だけど……。うん、大丈夫」

 強い光を目にした後は、目を閉じていても光が目の奥に留まってしまう。それぐらいなら、少し目を閉じていればすぐに良くなるだろう。

「体は?」
「ちょっとだけ痺れてる、かな……」
「まぁ、とりあえずそれぐらいで済んで良かったけどな。でも六耀、お前なあ」
「解ってる。雷撃魔法に水の防御壁なんて、何考えてたんだろうね、僕」

 どうやら自分がしでかしたことは解っているらしい。ならばいいか、と時雨は説教をやめて、大人しく腕に抱かれたままの六耀を見つめる。
 視力を取り戻す為に閉じられた瞳。自嘲ではあるものの、微かに微笑む唇。

(やばい、かも……)

 見ようによってはキスを待っているようにしか見えない。そんな事をしたら六耀に嫌われてしまう、のに……。視線は離れてくれない。

「……ごめん」
「な、何だっ?」

 無意識の内に近づいていた唇が動いて、声を発した途端に我に返った。

「時雨が助けてくれたんだろ?」
「い、いやっ、当然だろ、うん」
「……もう少し、このままでも良いかな。まだ体、思う通りにいかなくて」
「あ、ああ。気にしなくて良いから、うん、少し休めよ」
「ありがとう」

 いつになく素直な六耀に、時雨はどぎまぎした。目が見えないせいなのか、体が動かないせいなのか、はたまた雷でどこかをおかしくしたか。
 休めと言っておきながら、なるべく早く目を覚まして貰わないと、本当に何をするか解らない自分に、時雨は苦笑するしかなかった。





※後書き 兼 朱音さんへの私信

 ふぅ、やっと1つ出来ました~。ごめんなさい、呪文はほぼ「MIRAGE」からの転用です。「MIRAGE」の方は精霊への願い、「虹霞」の方は魔力をそのまま変換という違いだけです(汗)
 最初は、前半だけだったんですけどね。さすがにいつも時雨さんが可哀想なので、今回は誰にも邪魔されずにちょっといい思いをして貰おうかと、後半を足しました(笑)
 リク通りにはなってないかもですが、こんなで良ければどうぞお持ち帰り下さいませ。
 そして、六耀さんと時雨さんのイメージが激しく狂ってしまった事をお詫び申し上げますm(_ _)m
 
 朱音さんのみ、お持ち帰り可です。
 元々の「虹霞~僕らの命の音~」を読みたい方はこちらへ → 『空想 i
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Comment

本っ当にありがとうございます♪

琳架さん、こんばんは!
素敵なお話を書いて下さってありがとうございますーっ/// にやけが止まらないまま感想を綴ると何を言うか分からないのですが、あえてこのテンションで綴らせて下さい!

まず最初の時雨の「敵じゃないだろ」発言に吹き出して笑いました^^ 実は六耀からすれば時雨は敵かもよ~? と心の中で時雨に意地悪をしてみたり(笑)
普段はへたれなくせに(笑)、魔力は自分の方が持っていると自覚しているからこそ、魔法対決とは言え六耀に手を出さないところが時雨らしくて本当ににやにやが止まりません! そんな時雨に対して、自分がなめられている気がするところが六耀らしいです!
そしてようやく反撃したかと思ったら容赦なく雷撃魔法を放つ時雨の無謀さ……いや、アホさが彼らしいです^^;(笑) 時雨は変なところで手加減を知らなさそうですし。
琳架さん! 是非お聞きしたいことが。時雨が六耀を抱き上げた場面は無条件でお姫様抱っこなイメージがあるのですが、私の想像は違っていますか!? ま、まさか俵抱き……?(笑)
弱っている六耀と、そんな彼女にどきどきする時雨に私もどきどき&にやにやです*ノωノ 二人の距離が近い、身体が触れている! うはー、照れてしまいます///
六耀が後一秒「ごめん」と発するのが遅ければ、キス出来ていたのが残念で仕方が無いです……! か、もしかすると六耀は時雨が近づいてきていたのが分かったから、拒否の意味での「ごめん」を発したのでしょうか?(笑)
呪文を唱える時に台詞を付けるのが憧れでしたので、それが叶って嬉しいですv
もう本当にありがとうございました! またこちらのお話も飾らせて下さいませ!^^
何かお返しを書かせて頂けないでしょうか? もしもよろしければ何かリクエスト頂けると嬉しいです♪

水が出るようになったとのことで、安心しました! 少しずつでも確実に復興してきているんですね。
私も今送れている日常を普通のことだとは思わずに幸せだと感じ、感謝の気持ちを持って生きたいです^^

では、この辺で失礼いたします! 素敵なお話をありがとうございましたv
  • posted by 朱音
  • URL
  • 2011.04/06 19:35分
  • [Edit]

誤字見つけちゃいました(汗)

早速来て頂いて、ありがとうございます~。
読み返していたら誤字を発見しちゃったので、お持ち帰りの際は、このコメントを投稿した後の時間でコピーして下さいませ。

気に入って頂けたようで良かったです~。時雨さんが六耀さんにとって敵かどうかは……神のみぞ知る、と言う事で(笑)
それから、抱き上げた場面は勿論、姫抱きで! 俵抱きしたら、苦しそうです(笑)
ちょっとだけ甘甘な感じにしてみたんですけど、大丈夫でしたか?
六耀さんの「ごめん」は、バカな事をした自分を叱咤する意味での「ごめん」です。拒まれたら時雨さん、かーなーり、ショック受けそうなんですもん。ずどどどーん、と落ち込んで、六耀さんに近づかなくなりそうで(>_<) 無防備な六耀さんは書いてて楽しいです♪

って、お、お返しはいいですよ~っ。だってこれはお礼なんですから!
あ、言うの忘れてました。震災直後のコメント、本当に本当に嬉しかったです。ありがとうございます!
うーん、でも、せっかくですし……。じゃあ、また、私のサイトのキャラで何か、という大雑把なリクエストをしても良いですか(笑)難しければ、朱音さんのサイトのキャラクター達で。MOREも命路も好きなので!

本当に、水が出るだけでホッとしています。ご心配おかけしました。
それでは、こんなSSで宜しければどうぞお持ち帰り下さいませ~。
  • posted by 琳架
  • URL
  • 2011.04/06 21:54分
  • [Edit]

こんばんは!

琳架さん、こんばんはー! またもやコメント失礼します。
今回のお話を書いて下さった琳架さんにお姫様抱っこだと認定してもらえると、やっぱりにやけを我慢出来ません/// お姫様抱っこな場面を想像すると幸せです!
甘々な感じで大丈夫どころか、むしろ嬉し過ぎですよ!  自分では照れ臭くってなかなかそう言う場面を書けないので^^;
六耀の「ごめん」の理由はちゃんと理解しているので大丈夫ですよ! 本気で「時雨のキスを拒むための『ごめん』なのかな?」 と思ってはいませんので~(笑)
無防備な六耀は書いていて楽しいですか!? よ、よろしければまた書いて下さ(図々しいので強制終了します 笑)琳架さんが書いて下さる無防備な六耀に、時雨も私もどきどきしっぱなしですよ///
リクエストありがとうございます^^ どのシリーズでどんな話を書くかはこれから考えさせて頂きますね♪

こちらこそ、いつも福島の生の声を聞かせて下さってありがとうございます! 琳架さんが伝えて下さることを家族や知人に話しています。
ニュースを見ているだけじゃ感じない・考えないかもしれないことも、こうしてお知り合いになれた琳架さんから伝えられると私なりに色々考えたりします。とは言え、何も出来ない自分に落ち込んでしまったりもしますが……。それでも本当に祈っています! って、これ、前も言いましたよね^^;

それでは、乱文失礼しましたー。
  • posted by 朱音
  • URL
  • 2011.04/07 20:09分
  • [Edit]

ほっ。

朱音さん、こんにちは!

姫抱きシーンは、それが当然とばかりに頭の中にイメージがあったので、朱音さんのコメを見て「あ。描写足りないっ」と思ったんです(笑)やっぱり勢いだけで書き上げるとこういう事が……(^_^;)
甘々、許容範囲で良かったです~。
朱音さんの書かれる物語も楽しみにしてますね!

地震と原発の記事に対しても、いつも気にかけて頂いてありがとうございます。
私の感じている事なんて、きっと本当に被災してらっしゃる方々から見れば甘ったれの綺麗事だと思います。津波で家を失った訳でもなく、原発で強制避難させられている訳でもないのですから。
何も出来ないのは私も同じです。だから朱音さんも、落ち込んだりしないで下さいね。

それでは、コメントありがとうございました!
  • posted by 琳架
  • URL
  • 2011.04/08 13:19分
  • [Edit]

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