Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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FFX 星の海

その他版権 目次 二次創作Index

FFXのティーダとユウナです。
時系列はFFX-2のティーダ再会EDの後。

『行こう! 幻光河!』

「……本物?」
「……たぶん」

 勢いづいて抱きついたその体は、間違いなく生身の感触と温もりを宿していて。耳元で聞こえる、懐かしくて愛おしい、太陽みたいに温かな────ティーダの声。

「どうっスか」

 体を離し、彼の青い瞳を見上げる。シューインとは違う、優しい瞳。今は不安に彩られているけれど、旅をしていた頃、いつも傍で励ましてくれていた。その時は、もっと溌剌としていて、輝いていて……ユウナを『死の螺旋』から救ってくれた。自分が消えることを、最後の最後まで口に出すことなく隠し続けた、強い瞳。

「うん……お帰り」
「ただいま……」

 もう一度「ただいま」と告げた彼に抱き締められて、ユウナはやっと、ティーダがここに存在することを認識出来た。

(ありがとうございます、祈り子様────……)

 約束は出来ないと言われた。それでもきっと、長い夢を終わらせてくれた大召喚士の願いを叶えるために頑張ってくれた祈り子達に感謝しながら、そのままティーダの胸に顔を埋めていた。
 ……すぐにワッカに邪魔をされてしまったけれど。
 その夜のビサイドは、見事にお祭り騒ぎになった。伝説のガードの帰還を喜ばぬ者は誰もいない。ティーダの隣で幸せそうに笑うユウナを見て、誰もがホッと胸を撫で下ろす。
 永遠のナギ節が訪れてからの長い間、大召喚士であるユウナの心から幸せそうな笑顔を、誰も取り戻すことが出来なかったのだから。

「……良かった」
「ん? 何スか、ルールー」

 イナミを抱いたままのルールーが、ティーダの隣でひそりと呟いた。

「あんたがいなくなってから、ユウナ、ずっと指笛吹いてたのよ。あんたがいつか帰ってくる、そう思ってたんでしょうね。……結局、探しに行ってしまったけれど」
「探しに……ッスか?」

 あのユウナが。いや、命をかけてスピラを守ろうとしていた彼女なら……。
 成長したリュックと、仲間らしい女剣士にからかわれでもしているのだろうか。暗がりでも解るほど赤く染まった頬に、零れんばかりの笑顔を咲かせている。

「あんたにそっくりな男が、記録スフィアに映ってるのを見た後にね。ワッカが慌てて私を呼びに来た時にはもう、空の上よ」

 人差し指を上に向けて笑うルールーの言葉に、ティーダは何も言えなかった。
 ユウナが、自分をそんなに待っていてくれた。ただそれだけ、だけど、それ程にティーダを想ってくれていた事が……胸を打った。

「あんたじゃなきゃ、あの子は幸せになれない。そして多分、あんたも……でしょう?」

 言葉では答えなかった。ただ、確信の微笑みをティーダは浮かべた。

「ルールー」
「なに?」
「ユウナと行きたいところがあるんだ」
「今から? もう夜よ」
「夜だからこそっスよ」

 にっ、と旅をしていた頃と変わらない少年の瞳は悪戯めいていて、ルールーがとある可能性に気づいた時には既にティーダは想い人の傍へ駆け寄っていた。

「ユウナ!」
「きゃっ? な、なに?」

 急に大きな手に腕を取られ、ユウナは体を竦ませた。振り返ると、炎に照らされてキラキラと輝く瞳がユウナを真っすぐ見つめている。

「行こう! 幻光河!」
「幻光河ぁ? 何しに行くのさぁ~?」

 興味津々にのリュックに、ティーダは「秘密ッス」と笑う。
 けれどユウナにはすぐに解った。あの旅の思い出は、一つたりとて消えていない。

「うん! 行こう! アニキさん、セルシウス発進!」
「ぐぐっ……りょ、りょうかい……っ!」

 ユウナの隣にいるティーダをどうにも認めたくないらしく、それでも可愛いユウナの為にアニキはセルシウスを発進させるのだった。




『幻光花、って言うの。夜になると、たくさんの幻光虫が集まるんだって』

 夜まで待とうと提案しようとした矢先、アーロンに「夜まで待たない」と言われてしまって、何も知らなかったティーダは無邪気に告げたのだ。

『じゃ、シンを倒したらゆっくり見に来よう!』

 その言葉は、叶えられなかった。死の運命にあったユウナではなく、自分自身が消えてしまったから。
 もう一つの約束である、『夢のザナルカンド』には連れていけないから、せめて。

「わ……っ。見て、すごくキレイ……!」

 七色に光る幻光虫が、幻光花に集まる。人の魂とも呼ぶべきその光は、キラキラと瞬いて、あの日ルールーが言ったままの光景が、そこにあった。

「ホントに……星の海みたいだな」
「そうだね……」

 うっとりと眺める蒼と翠のオッドアイ。あの時と同じようにしゃがみ込んではいるけれど、その顔は純粋にこの光景を楽しんでいるようだった。

(あの時のユウナは……言葉少なだったしな)

 通り過ぎていく全ての光景に別れを告げていた、かつての彼女と今の彼女を思わず重ねてしまう。

「そうだね、って……見に来なかったッスか?」

 ユウナの隣に、片膝を立てて座り込む。

「……うん。だって、……キミが、いなかったから……」

 ティーダが傍にいなかったから。ユウナが一人で見に来ても、何の意味もなかったから。そんな意味合いを込めたたった一言で、思わずユウナの体を抱き寄せていた。

「……ごめん」
「……どうして、謝るの……?」
「ずっと、ずっと待っててくれたのに……帰って来られなくて」
「……そんなことない」

 小さく首を横に振るユウナのちょっとだけ跳ねた髪が頬に当たって、くすぐったい。お互いに座っているから、彼女の声はダイレクトに耳に届く。

「キミは、ここにいるよ」

 いつかと同じ言葉。ジェクトがスピラにいた事実を否定したティーダに、ユウナは同じ事を言った。あの時は、ティーダとジェクトが同じようにスピラに来たであろう事を裏付ける言葉だったけれど、今は違う。
 ティーダの存在をここに繋ぎ止める為の、力強い言葉だ。

「大丈夫だって、言ってくれたのはキミなのに。わたしだけに流れた時間が、不安……?」

 シンを倒してからずっと、ユウナだけに流れていた時間。それを不安かと問われて、ティーダは「そうじゃなくて」と呟いた。

「それだけ長い間、待っててくれたのは、すごく嬉しいんだ。だけどそれは、……オレがユウナの時間を奪ってたって事だろ?」

 ユウナの時間は止まったままだったのだ。シンを倒したあの時から────そして恐らく、自分に似ているという男のスフィアを見るまでは。

「……後悔なんか、してない。今、キミが、ここにいてくれる。こうしてわたしを抱き締めてくれる。それだけで、……充分だよ」
「それで、……いいッスか?」
「わたしがいいんだから、いいのっ。だから、……そんな不安そうな顔、しないで?」

 体が離れ、ユウナの白く細い指先が、ティーダの両頬に触れる。

(強がって……。違う、強がらせてるのは、オレか……)

 ユウナの指先が、微かに震えている。ユウナだって不安がない訳ではないのだ。一度消えてしまっている事実がある以上、ティーダ自身にだって、いつまで存在出来るのか解らないのだから。
 それでも、待っていてくれたユウナの為に、これからの時間を使おう。人間ひととして限りある命を、ユウナの傍で生きよう。
 新たな決意を胸に宿して、ティーダは再びユウナの体を引き寄せ、強く強く抱き締めた。
 星の海のごとく煌めく幻光河で、一つになった影はしばらくそのまま動かなかった。



~おまけ~

「あ~も~、じれったいなぁっ。なぁんでそこで手を出さないかなぁ~」
「……何をしてるんだ、リュック?」
「え? あっ、パイン! 何するのさ!」
「……覗き見とは……良い趣味だな?」
「だって、気になるじゃんかぁ」
「……あとでユウナに報告しておこう」
「えっ、ちょ、パイン! ホエガテマタレセ(それだけはやめて)~っ!!」
「ミタガ(いやだ)」

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好きだったなぁ、FFX……。本気でこれだけは何度やっても飽きないのが不思議(笑)
X-2はティーダとユウナを会わせたいが為に頑張ったし!
……またやりたくなってきた……。

さーてっ、次こそはオリジナルを書こうっ!
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