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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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頂き物 LOVE SO LIFE 「とこはる」

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『sweet±』のかほさんからの頂き物です。
かほさん宅でキリ番を踏んだ際に、「LOVE SO LIFEのほのぼの話」をお頼みした所、本当にほのぼので可愛らしいお話を書いて頂けました(^^)
では、続きからどうぞ!


「ゆき~」
「きゃあ~」
「雪だるまを作ろうか~?」
詩春のかけ声に双子達が『待ってました』というように手を上げた。


(―――ああ、元気だ・・・)
ただ一人、閉めきった窓の内側から、松永は、尊敬の眼差しで彼らを見ていた。
昨夜から深々と降った雪は、辺りを真っ白に変えていた。
あまり見ることのない雪景色に子どもたちは大喜び。
それに比べて松永と言えば、ただただ感謝していた・・・今日を休暇としてくれた神に。
そして、雪で足元が悪い中、ゆっくりと歩いてうちにやってきてくれた彼女に。
・・・自分も子どもの頃は、降り積もる雪にワクワクしていたものだった。
しかし、今は何より出勤の交通渋滞のほうが怖い。
『大人になるというのは、つまらないことだな』としみじみ思う。
彼がそんなことを思っている間に、庭では、小さな雪だるまが2つできつつあった。
(あれは、ひょっとして・・・)
と眺めていると、今度は、少し大きな雪だるまを3人で転がして作り始めた。
小さな雪だるまには、葵と茜がそれぞれ自分たちの帽子をかぶせる。
3つ目の少し大きな雪だるまは、双子に足にまとわりつかれながら、彼女がちょっとあわてたように顔を赤らめて、自分のマフラーを巻いた。
とてもなごむ光景だけれど、松永はちょっぴり寂しさを感じていた。
――― 自分がいないことに・・・
庭の雪は、彼らの雪だるまにほとんどが使われて、もう何箇所かは土が見えている。
物理的にも無理なようで、それは仕方がない。
と、どうやらその事に気づいたのは、やっぱり彼女だった。
彼女が人差し指を立てたのを見ると、双子もやる気をみせ、雪をかき集めて雪だるまを作り始めた。


彼らに呼ばれて、息を白く弾ませながら、出てきた松永である。
「せーたん!」
その両側に2人は立っていて、威張ったように松永を見ている。
「これが俺か・・・えらく黒い気がするけど」
苦笑する松永に、
「すみません!それは私ってことで」
あやまる詩春に、松永はにこりと笑って見せた。
「どう見ても、この色白雪だるまは中村さんでしょ」
土が混じった茶色の雪だるまの隣に寄り添うように、ひとまわり小さな「詩春雪だるま」がおり、そのすぐ前には双子の雪だるまがちょこんと座っていた。
それを眺める4人の顔には、それぞれに笑顔が浮かんでいた。


――― 彼らの敵は・・・太陽だった。

昼食を終えた葵と茜は、ふと庭に目をやり、同時にその状況に気がついた。
「ぎゃー」
「わー」
同時に悲鳴をあげたので、松永と詩春の2人が慌てて駆け寄ると、2人の目には大粒の涙が・・・
「あおくんの・・・」
「あかねのー!」
2人の雪だるまは、すでに形がなく、詩春雪だるまとせーたん雪だるまが半分になっていた。
もちろん、松永と詩春にとっては当たり前のことであり、困ったように視線を交わした。
「わー><」
2人が大声で泣き始めると・・・それはもう大音量で・・・詩春が何と言って慰めようかと考えていると、松永が声を張り上げて2人に向かい、
「葵!茜!雪は溶けるもんなんだ!雪が溶けたら何になると思う?」
・・・双子は、涙を溜めたまま、きょとんとして松永を見上げた。
「ゆき?」
「とけたら?」
詩春は、苦笑しながらその様子を眺めていた。
詩春が知っている答えは、2つあった。
それにしても、双子にはまだ理解できないだろう・・・。
『うーん』『うーん』と唸る2人に彼は笑いかけながら、答えを告げる。
「答えは、『春』になるんだよ」
「はる?」
双子は、納得がいかないというように頬を膨らませ、またみるみるうちに涙があふれてくる。
(や、やっぱり、意味がわかんないよね・・・)
と思っていた詩春の両肩を彼は掴んで引き寄せると、双子の前に突き出した。
「ぽかぽかな『はる』と言えば、中村さんだろっ!」
(何のこと?!)
内心おろおろと叫んでいる詩春に対し、子どもたちのほうがよっぽど冷静だった。
「しはるたん?」
ぽーっと顔を見合わせていた2人は、彼女の名を呼び続け・・・詩春の名前の中に答えをみつけた。
「し・・・はるたん」
「はる?」
「「はるたん!!」」
先ほどまでの涙は、あっという間に吹き飛んで、双子は庭に飛んでいった。
そして、溶けかけている2つの雪だるまの周りを「はるー!」「はるたんー」と言いながらはしゃいでいる。
「はあ・・・」
危機を回避したかのように彼が大きくため息をついた。
「なんとか気を逸らせた・・・のかな」
そして、彼の顔を眺めている詩春に笑ってみせた。
「あいつら、ほんと、中村さんのことが好きだよね」
詩春は、正座をして身体を小さくしながら、はにかむように笑った。
「ほんと・・・嬉しいことばかりで」
彼が彼女の顔を見ながらも何も言わないので、詩春はなぜ自分の顔が火照るのかわからないまま続ける。
「雪だるまも4つ作って・・・」
(まるで家族みたいに・・・)
「それに・・・」
『―――ぽかぽかな『はる』と言えば、中村さんだろっ!』
(ぽかぽか///・・・)
彼女は、黙ってしまって一人でふふと笑っているので、松永には彼女が何を考えているのかわからなかったけれど・・・彼女の笑顔はやっぱり温かさをくれる気がした。
思い出し笑いをしていた詩春が我に返ったのは、松永がフッと笑ったからだった。
「松永さん?」
彼女に顔を覗かれて、ぎくりとした彼だったが、なぜか照れたように、
「俺も・・・あいつらと同じだなって思って」
「同じ?」
詩春がきょとんと彼をみつめていた。
(俺、いい年して・・・なんでこんなに汗かいてんだ)
思わず、彼女から目を逸らし、背を向けて・・・
「・・・春が一番好きらしい・・・」
――― まったく反応がないので、振り返った彼の前に・・・なんと彼女はいなかった。
「わーん」
走り回っていた葵が転げたらしく、詩春は双子のところに走っていたのだった。
拍子抜けした彼は、おもいっきり頭をかきむしった。
(・・・俺は、何を言う気だったんだ・・・)
彼が膝に肘をついて頬杖をつき、庭に目を向けると、泣き止んだ葵を抱いて彼女がこちらを向いて笑っていた。
彼女はそこにいるだけで、いつもほっこりとあたたかい・・・
・・・彼は、照れるのを隠すように髪をかきあげる。

―――彼は、やっぱり目の前の「春」が一番好きだと思った・・・。


                      <END>




雪だるまを作る双子と詩春ちゃん。だけど自分の分の雪だるまがない事にちょっとだけ淋しさを感じてしまう松永さんが可愛いです! 双子が自分たちの雪だるまに帽子を被せる光景も、頑張って松永さんの分の雪だるまを作る光景も、本当に目に浮かぶようでした。
「ぽかぽかな春と言えば中村さんだろっ」この台詞が大好きです。双子にとって、松永さんにとって、大好きな春。それを聞いて照れる詩春ちゃんが何とも言えず可愛くて♪

かほさんの書かれる文章は、いつもとても優しくて、ホッとします。
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