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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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執事様のお気に入り 甘いハロウィン【4】

執事様のお気に入り 目次  二次創作Index

神澤別荘編 前編



「いらっしゃい、氷村さん、皆さん」
「……姉さんっ! どういう事だよこれは!」

 出迎えに出てきた姉の碧織衣に突っかかれば、「どういうも何も。みんなでハロウィンパーティーよ?」と、あまりにも平然と言われてしまって、伯王は頭を抱えた。
 辿り着いたのは、間違いなく神澤家の別荘だ。しかも煌びやかに飾り付けられ、ライトアップまでされている。

「あら、まさか忘れたわけじゃないわよねぇ? 今日の手伝いを免除する代わりに、絶対氷村さんを連れてくるって」
「それはちゃんと許可を得た上での話だろ! これはほぼ誘拐だっ! しかも氷村だけならまだしも朝宮さん達までっ!」
「その点は大丈夫よ? ちゃんとご招待させて頂きますって、皆さんのお家と、それから寮にも許可を頂いたから」
「何でそういう事だけ手回しが早いんだ……」

 がくり、と項垂れる。どうあってもこの姉には適わない。

「えっと、伯王……? どういう事?」
「ああ、つまりな……」

 事の発端は一週間前。碧織衣からBクラスの寮に一枚のFAXが届いた。

『10月30日、ハロウィンパーティー。氷村さんを絶対に連れてくる事。逃げるんじゃないわよ?』

 と、強制的な文面が。だが、良から保育園の話を聞いて、彼女に言うタイミングを逃してしまった。その時の良の顔が、またあの子達と会いたいと言っていたから、伯王は無理を承知で碧織衣に電話したのだ。そうしたら……。

『あらそう? いいわよ』

 何を言われるかと身構えていた伯王は、姉の言葉に拍子抜けした。

「は? いい、って……行っていいって事か?」

『ええ、パーティーは夜だもの。だけどひとつだけ条件があるわ』

「……条件?」

『そう。私、氷村さんの手作りケーキを一度食べてみたかったのよねー。彼女、お菓子作りが得意だって言ってたじゃない? そうねぇ、カボチャケーキなんてどう?』

「って、何を勝手に……」

『うちのシェフには作らないように言っておくから。じゃあね?』

「ちょっと待て、姉さんっっ!!」

 こっちの話を聞きもせずに、あっという間に電話を切ってしまった碧織衣に呆れながらも、とにかく予定が空いた事だけを良に伝えたのだが。

「そ、そうだったんだ……。ごめんね、伯王。無理させちゃった?」
「いや、俺よりお前の方が」
「え? 大丈夫だよ、カボチャケーキなら作れるから。甘く作れば、野菜嫌いの理皇くんも食べられるよね?」
「食べられるに決まってるだろっ、バカにするな、良っ!」
「楽しみだわー。さ、中へどうぞ」

 るんるんとした足取りで、家の中へと入っていく碧織衣の後に、理皇が続く。庵と隼斗に促されて、薫子達も玄関をくぐり抜けて、気付けば良と二人きりだった。

「お、お姉さん相変わらずだねぇ……」
「全く……。何を考えているんだか。悪いな、巻き込んで」
「ううん、全然っ! ケーキは今から作れば大丈夫だし。だからね、伯王?」
「ん?」

 ライトアップされている玄関に続く階段を、一段、二段と上がった良が、くるりと振り向いて。嬉しそうに笑った。

「楽しいパーティーにしようねっ!」
「……ああ」

 この笑顔の傍にいたい……。胸にそっと灯った想いに、伯王は気付かないふりをした。


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