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オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

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執事様のお気に入り 甘いハロウィン【3】

執事様のお気に入り 目次  二次創作Index

保育園編 後編



「さぁ、みんな! ハロウィンパーティー始めるよー!」

 薫子の従姉のその一声で、園児達がわいわい騒ぎ始める。伯王も庵も隼斗も子供達に囲まれ、真琴と征貴の周りも子供達が囲む。子供に手を引かれるままに歩く二人が、微笑ましかった。
 それからのハロウィンパーティーは大騒ぎだった。元々ハロウィンは「Trick or Treat?」と、子供達が近所を回ってお菓子を貰うだけのイベントらしいが、トランプゲームにビンゴゲーム、パーティーでやりそうな遊びのほぼ全てを行ったと言っても過言ではないかも知れない。

「おにーちゃん、おねーちゃん!」
「えっ?」

 あの日、ままごとをして一緒に遊んだ女の子が、ふざけて良と伯王の腕に抱きついてきた。

「あのねあのねっ、来てくれてありがとうっ」

 満面の笑みで見上げてくるその少女の頭を、伯王がそっと撫でた。

「楽しんでるか?」
「うんっ。あのね、クッキーありがとう! とってもおいしかった!」
「本当? 良かったぁ……。実はちょっと不安だったんだよね、カボチャクッキー、久しぶりに作ったから」
「おまえのお菓子はどんな物でも美味いぞ?」
「そ、そう?」

 真っ正面からさらりと言われてしまって、良は顔が熱くなるのを感じた。

「おねーちゃん、かおあかい?」
「大丈夫か? 暑いのか?」

 いつものように額に伯王の手が触れそうになって、良は「大丈夫っ!」と慌てて後ずさった。二人きりの時ならまだしも、周りにはたくさんの人がいるのだ、と意識した途端、その周囲の視線が伯王と良に向けられているのに気付いた。

「え、えっと……? みんな、なに……?」

 答えたのは双星館の仲間でも、子供達でもなく、園児達の母親達だった。

「あらあら、そのまま続けていても良かったのに」
「初々しいわね~」
「ふふ、伯王さんは良ちゃんしか見えてませんから」
「薫子さんっ、何言ってるのっ」
「カメラを持ってくれば良かったわ、シャッターチャンスだったのに」
「……か、薫子さん……?」

 だんだん居辛くなってきてしまったけれど、今ここで席を立つ事は出来ない。先程の少女がまだ腕を掴んでいるからだ。

「……そうしていると、家族みたいですね……?」

 ぽつり、と呟かれた真琴の声が、ちょうど会話が途切れたところに挟まれた。

「真琴様、ご参考になさいませんよう」
「どうして……?」

 小さく首を傾げた真琴が、征貴を見上げる。真琴の周りにいる子供達も一緒になって征貴を見上げて、征貴はたじろいだようだった。

「……どうしてもです」
「仙堂、何が言いたい」
「自分の行動を顧みてから言う事を勧めるが、神澤?」
「何だと?」

 放っておいたら冷戦勃発の気配に、良は慌てて「ねえっ」と声を上げた。

「氷村?」
「あ、あの、あの……ほらっ、あの日みたいにシャボン玉作って遊ぼう! 一番大きいのを作った人には、ご褒美に、も一個クッキー上げちゃいまーすっ!」
「「やるーっ!!」」

 子供達が一斉に立ち上がり、それに引きずられる形で良達も園庭へと移動して。みんなでシャボン玉を作り始めた。

「氷村嬢は本当に、子供の扱いが上手いなぁ」
「精神年齢が一緒なのかもね?」
「……氷村が聞いたら怒るぞ、それ」

 隼斗と庵、そして伯王がそんな会話をしていた事など、気づきもしない良だった。




 子供達が全員帰り、後かたづけまで手伝って、結局良達が帰途についたのは午後六時。暗くなるのが早くなった今、街灯の明かりがなければ隣にいる人の顔だってなかなか見えないけれど、話をしている分には全く支障がなく。薫子と一緒に今日の出来事を話し、時折真琴にも返事を求めて、双星館に辿り着く頃。

「待ってたぞ、良っ!」

 聞き覚えのある偉そうな幼い声。その声に真っ先に反応したのは伯王だった。

「理皇っ!?」
「理皇くんっ!?」
「よしっ、全員乗れっ!」
「えっ!? ちょっ、ちょっと理皇くん!?」

 あれよあれよという間に、いつの間にか傍に来た黒塗りの車の中に押し込められ、良は双星館に帰り着く間もなくまたもや誘拐されたのだった。


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