Mirage

オリジナル・二次創作小説や、好きな本の感想を綴るブログです。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

LOVE SO LIFE Trick or Treat?【後編】

LOVE SO LIFE 目次へ  二次創作Index

ハロウィン話。



 何だか少し気恥ずかしくなって、無言のまま道を歩いていく。それでも葵と茜が色んな物を見つけるので、その度に政二と詩春は立ち止まり、言葉を交わした。

 が、問題が一つ。それは、どこに行っても政二と詩春が夫婦に見えるという事だった。
 狼男に仮装していた銀細工のアクセサリー店では、ペアリングを勧められたり。
 可愛らしい吸血鬼の仮装をした女の子のいる店では、政二にとセーターのサイズを聞かれたり。
 猫耳をつけた女性の店では、お揃いのストラップを買わされそうになったり。
 どこに行っても「お若い夫婦ですね」と言われてしまい、いちいち否定して歩くのも大変だったので、二人は始終愛想笑いをして退散してきた。

「「ふう……」」

 双子にジュースを買って、ようやっと休憩出来る場所を見つけて、4人で座り込むと、政二と詩春は同じタイミングで息をついてしまって、顔を見合わせる。一瞬の空白の後、政二も詩春も、声を抑えて笑い出した。

「よっぽど家族に見えてるんだな、俺達」
「そうですね。会う人会う人、みんなに言われますし」

 双子を抱いているが故か、それとも二人が纏う空気がそう見せているのか。本人達には解らなかった。

「そういえば……去年のハロウィンは散々だったよね」
「……及川さんがいらしたんでしたよね……」

 合コンでの仮装を見て欲しいと、着替えてきた及川の衣装は、フランケンシュタインのような、子供にしてみれば可愛いどころか怖いとしか思えないもので。泣き出した双子に、彼は散々色んな物を投げつけられて帰っていったのだ。

「あんなの着て、実際女の子受けしたと思う?」
「……えっと……どうでしょう……?」

 詩春よりも年上の女性だったら、とも思う。が、詩春にとってはさすがに怖かった。中身は及川だし、被り物だし、と解ってはいたけれど、ちょっとだけパニックになったのも事実だ。

「人騒がせだよなー」

 言葉は彼を非難しているけれど、彼の表情は「仕方ないヤツ」と笑っていた。二人の高校時代は、一体どんな風だったのだろうと思う。

「でも、いいですね。大人になっても友達なんて」
「そうだね。何だかんだ言って、あいつとの付き合いも10年……うわ」
「どうしたんですか?」
「この10年、あいつに振り回されてるような記憶しかないのは何でだろう……」
「あ、あはは……」

 項垂れている政二に、詩春は苦笑を返すしかなかった。

「さて、もう少し見たら帰ろうか」
「あ、じゃあ帰りにスーパーに寄って頂けますか? タマゴが切れかけてて……」
「それなら、今日は車だし、重くなりそうな物も買っちゃおうか」

 こんな会話をしていたら、周囲の人に家族だとますます誤解される事に気付いたのは、翌日梨生に話をした時だった。




「松永さん、二人寝ちゃいました」
「え、もう? 珍しいね」
「はしゃぎ疲れたんだと思います。あの後も色々目移りしてましたし」

 そう、休憩した後にも見て回ったら、ガラス細工に皮工芸、籐で作ったかごに手作りの服、ビーズアクセサリーと色々な店があり、茜と葵の興味は尽きることがなかったのだ。
 特にガラス工芸とビーズアクセサリーでは「きらきら!」「ぴかぴかー!」と声を上げてはしゃいでいた。

「あ。そうだ」
「はい?」
「中村さん、Trick or Treat?」

 え、と思わず呟いた。持ってきたカボチャのマフィンは、すでにみんなのお腹の中、余った分はやって来た健に渡してしまったから、もう手元には一個も残っていない。
 政二の意図が掴めない。マフィンがすでに無い事は、彼だって知っているはずなのに。

「あ、あの……もう、マフィンは」
「じゃ、いたずら決定。ここ座って」

 にっこりと笑った政二が指差したのは、彼のすぐ隣。言われるままストンと正座をする。

「目ぇ閉じてて」

 瞼を下ろし、そのまま政二の行動をじっと待つ。
 視界に頼らない分、耳が彼の呼吸の音を捉える。肌が、近づく彼の気配を感じ取る。
 目を開けたい衝動に駆られながらも、詩春はそのまま身動きせずにいた。
 首筋に、何かが触れる。冷たい感触と、人肌の温もり。しゃら、と微かな音が聞こえる。

「はい、いたずら終わり。目ぇ開けて良いよ」

 肌で感じ取っていた彼の気配が遠ざかり、詩春はそっと目を開けた。部屋の明るさに目を細め、政二を見る。そして、冷たい感触が触れた首を動かすと、胸に近いところに、花の形をしたビーズモチーフがあった。否、首からかけられているのだから、ネックレスだ。

「ま、松永さんっ? これ……」
「うん、いたずら」
「い、いたずらじゃないです! いつの間に買われてたんですかっ?」

 ビーズアクセサリーの店を見ていた時、詩春が一番最初に綺麗だと思ったアクセサリーが、これだった。羽ばたく蝶のような花の形、けれど決して大きい物ではなく、色合いも詩春好みだった。その後すぐに、葵が別の店に興味を示して移動してしまい、結局買わずに帰ってきたのだけれど。

「気に入ってたみたいだから。一点物だって言ってたし」
「だ、だからって……」

 そんなに物欲しそうな顔で見ていたのだろうか。彼には本当に、色んな物を貰ってしまっている。

「俺があげたかっただけだよ。子供達の前じゃつけられないだろうけど、友達と出かける時とかにつけてくれれば嬉しい」

 確かに、双子と一緒にいる時は付けられない。「これ何?」と強い力で引っ張られてしまえば、あっという間に壊れてしまう。
 ありがとうございます、と手にモチーフを握って呟けば、政二は「いたずらだから」と笑った。

【前編】へ← LOVE SO LIFE 目次
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

琳架

Author:琳架

web拍手 by FC2

 ↑ 9/1変更 (全6種)
 桜涙・雨弓・明陽
 図書戦・LOVE SO LIFE・ヨナ
  ※携帯版が確認出来ないので、こちらに統合しました。

Twitter・SS専用アカウント→ @sakuraironoyoru

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最新記事

検索フォーム

月別アーカイブ

西暦をクリックして下さい。

カウンター

FC2ブログランキング

ランキングに参加しています。

FC2Blog Ranking

右サイドメニュー

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。